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老人施設での音楽出前演奏 

(Ken/1961年生/兵庫県芦屋市)

  
― どんな施設で活動されていますか。 
現在、地元の芦屋市にある「芦屋ブーケの里」という特養老人ホームで毎月第一日曜日に定例的に1時間程度の演奏を行っている他、 オヤ応メンバーの紹介で、西宮市の老人ホームと芦屋市のディサービスセンターにも、お声をかけていただいた時におじゃましています。
 
― 活動は何人くらいの方を対象にして、行っているのですか。 
「ブーケの里」では、ディサービスで来てる人、入居されている人を合わせて、毎回30人くらい聴きに来てくれています。他の場所では、大きな施設では70人くらい。小規模な所でも20人くらいでしょうか。
 
― 演奏はどんなメンバー構成で、どんな曲を演奏していますか。 
「ブーケの里」では、一人でやる事が多いのですが、タイミング合えばオヤ応メンバーや、他の音楽仲間が一緒にやってくれたり、自分の子供たちが歌詞カードを出す手伝いをしてくれたりしています。他の場所で声かけていただいて参加する時は、3〜4人ぐらいです。 演奏曲は1960年代フォーク、歌謡曲、演歌、懐メロ、唱歌、替え歌など。一緒に歌えるように歌詞カードをコピーして持参していましたが、人数が多くなるとコピーも大変だし、歌詞カードを手に持てない方や、カードを持つことで顔が下を向いてしまい顔が見えない。という事もあって、現在プロジェクターで壁に歌詞を投影して一緒に歌っています。
 
― ギターの他にご自分で、どんなものを準備されていますか。
「ブーケの里」の場合、施設にスピーカーとミキサーがありますので、マイク、マイクスタンド、シールド、延長コード、プロジェクター、書画カメラ、譜面台、ギタースタンド等を持参しています。幸いなことに「ブーケの里」は自宅から歩いて5分くらいなので小型カートに乗せて持って行っていますが、他の場所へ行く時は、電車かマイカーを利用することになります。
 
― どんなことがきっかけで出前演奏をやることになったのですか。
オヤ応に入会し、ギターで歌う事の楽しさ、また自分が弾くギターで人が楽しく歌ってくれる姿を見て、こんなに楽しい趣味を何か人の役に立てる事ができないか。と考えていた時に、各種施設での音楽ボランティアがある事を知り、芦屋市役所へ相談に行き、施設を紹介してもらい、「飛び込み営業」でスタートしました。
 
― 活動を行っていて、良かったと思われることはどんなことですか。
まず皆さんに喜んでもらえる事の嬉しさを実感できた事。今だから正直に言いますが、最初は「ボランティアで歌を唄ってあげる」という気持ちが頭のどこかにありました。それが、2回・3回と回を重ねるうちに、それが大きな間違いである事に気付きました。それは、「やってあげている」ではなく、「やらせてもらっている」という事。毎回、励まされ、一緒に歌い、笑ったり、泣いたり、おじいちゃん、おばあちゃんの笑顔と歌声に僕が元気をもらって帰っています。「毎回ご苦労さんやねぇ〜」「待ってたのよ〜」「今度いつ来るの?」「次来る時は○○を唄ってや〜!」などと声をかけてもらい、「もっと練習しなきゃ!」という向上心にも繋がっています。
こうした気持ちから、ボランティアという言葉に違和感を感じており、人に話しをする時は「出前演奏」と言っています。そして、このような事に気付かされた事が本当に良かったと思います。
 
― 活動を行う際に、心掛けていることを教えてください。
@ 歌う前に曲名を言って、その曲にまつわる話し(何年頃、誰が歌ってたか等)で思い出してもらいながら歌い始めると効果的。
A できるだけ「ゆっくり」したテンポで歌う。話しをする時もできるだけゆっくり話す。
B 盛り上がった曲、シラけた曲を覚えて次回に活かす。顔を見ながら歌うとよく分かる。
C スタッフさんとの打合せは、机・イスの配置など手伝ってほしい事をハッキリ伝える。そして、ダメな事はハッキリダメと言ってもらう。遠慮するとお互いにやりにくくなる。
D 写真を撮る時は事前に了解を得る。
E スタッフさんが、「痴呆の人が多いので毎回同じ曲でも全然OKですよ」と言われたが、そうではない人もいるので失礼のないよう毎回数曲は違う曲を歌うよう心掛けている。
F リクエストをもらったら次回までに練習する(約束を守る)。但し、できない曲もあるので、できない時は出来ないとハッキリ伝えて謝る。
G 終了後、次回の日程など、決めておくとスタッフさんも助かるようなので、毎回そうしてます。(施設で別のイベント予定もあるため)
H 終了後、握手を求めて来る人には応えてあげるが、こちらからは求めない事。なかには、そうした行為を嫌がる人もいるので。
 
― 今後の目標や方向性などがあれば聞かせてください。
演奏する曲については、昭和30年代後半以降の歌はある程度知っているので何とかなりますが、それ以前の古い歌は知らない歌が多いので、1ヶ月で覚えるのはキツイですね。少しづつ聞いて覚えていきたいと思っています。
また、こうした活動には個々に色々考え方があるので、一概には言えませんが、自分の気持ちと聞く側の雰囲気を感じながら、少しでも楽しい時間を過ごしたいと思います。以前、こうした活動についてネットを見ていたら、「音楽でボランティアなどというのは偽善だ。」「所詮、自己満足でやってるだけではないのか。」「良い事をやってると強調して自慢したいのでは」・・・音楽とは、自分の感性、感情、想い、を人へ伝える手段である云々・・・ というのを見た事があります。その時は、さすがにヘコみましたが、音楽には色んな人の想いや、考え方、生き様、やり方、等があるのは当然の事。その人達を批判する必要もないし、自分がヘコむ必要もない。多少失敗する事もあるけれど、自分が納得できる音楽の有り様をこれからも楽しみながらコツコツと模索していきたいと思います。
 
(2013年4月)