特定非営利活動法人アコースティックギターローカルネットワーク
設立趣旨書


右肩上がり経済、終身雇用、年功序列という言葉が過去の遺物となり、少子高齢社会の進展を背景として、年金や健康保険など社会保障制度の限界が次第に明確になってくる中、所得格差の広がりと共に、老後の生活にも自助努力が求められる時代となりました。

これまで家族や地域の絆を犠牲にして、経済的発展という単一の企業論理の中で懸命に働くことによって老後は安寧な人生を迎えられると信じてきた中高年にとって、定年後の受給年金額の減少や医療費負担の増大が確実視される中、限られた収入で老後を生きることの不安はこれまでになく大きくなっています。

加齢により誰でも体力や気力の低下が避けられない状況で、平均寿命は確実に上昇しており、今や定年後は「老後」でなく「第二の人生」という観点からライフプランを再構築することが求められています。そんな長い定年後の人生を生き抜くためには、企業社会に代わる新たな生活の場である地域社会において、自分自身の存在を確かなものとして実感できる機会を持ち、地域に住む者同士の相互扶助が欠かせない事柄だと考えています。

かつて、1960年代から70年代にかけて青春時代を過ごしてきた現代の中高年の多くは、フォークブームの中でギターを手にし、社会の矛盾や、自分自身の精神的な葛藤を歌にして表現するという経験を共有しています。そんな同じ時代の価値観を共有する者同士の交流と音楽による自己表現の機会を持つことは、自分自身の存在価値を再確認するとともに、孤立しがちな定年後の生活の中に新たな可能性と希望を見出すきっかけともなるでしょう。

私たちは、かつて「ギター小僧」であった全国各地の中高年層の皆さんを中心として、第二の人生を前向きに生き抜くために必要な相互扶助育成の土壌となるコミュニケーションの機会を提供すると共に、地域でギター愛好家が気軽に集まって演奏できる場所を全国各地に作るためのネットワーク整備を行い、地域の活性化と新たな音楽文化の創造に寄与できる事業を行なってまいります。

これらのことを、組織としての継続性と公益性を担保して実践するために、ここに特定非営利活動法人アコースティックギターローカルネットワークを設立します。

                                         平成18年3月19日