2004年9月6日
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「大人のための官能のオモチャ」
 
(Tinpanalley/46歳/兵庫)
 


 出会いは多くの方々と同じ「おじさんに貰ったガットギター」でした。10歳の時です。次もやはりよく聞く話ですが「近所のお兄さんに教えてもらった」パターンで弾き始めました。気が付けば30年以上もギターに親しんでいます。あのギター、どこに行ったんだろう。   

 ギターを始めて間もない頃、クラシック界の巨匠と言われる方とお話しする機会があり、私がギターを練習していることを話すとその方は「どんなジャンルの音楽であれ、ギターはたった一人でも数十人のオーケストラに匹敵するような感動を与えることが出来る楽器なのだから、がんばって練習しなさい」というようなことをおっしゃいました。もっともピアノをやっていた妹にも同じことをおっしゃっていましたが、、、。       

 ギターって、ホント、どうしようもない魅力がありますよね。形なのか、メーカーブランドなのか、、、やれ材質がどうの、木目がどうの、弦高は?塗装 は?ペグは?はたまた貝は何貝?そんなこと言い出したらキリが無いんです。でも言わなきゃ気が済まないのも事実。じゃあ「究極のギターって?」

 そうですよね。ギターって1本1本音が違うから魅力があるんですよね。だから増える一方でなかなか減らない。「コイツはソファーでつま弾き用、コイツ はマイク乗りがいいからライヴ用、これは死ぬまで持っておく用、、、、」気づいたら6本目買おうとしてた自分にハタッと気づいた。え?6本程度じゃ諸先 輩方の足下にも及ばないって?私だって、別に追いかけてるつもりは無いんですけど。

 でも結局6本目、買っちゃったんですよね、先週。じゃあこれは何用?と愚妻が訊くんで「門外不出用だワン」って。ホント、これだけは外に持ち出す勇気がないんです。弾くのは弾きますけどね、ウチで。シェラック塗装だし余計に気遣っちゃって。でも愚妻も「アタシもアンタにつきあって色々なギター聴いたけどね、イイ音は今まで何回も聴いたけど、凄い音っていうのはこれが初めてだわ」、、、、、気に入ってくれたようです。

 神様が人間の手を借りて創られた、大人のための官能のオモチャ。弾いた瞬間「ああ、、、今日まで生きてて良かった。」もうこれ以上は買わないですよん、、、、、、たぶん。


   
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