2005年1月9日
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「魔力」
 
(sunshine/38歳/京都)
 

Martinをゲットして、約1年が経った。
エレキギター暦26年ながら、バンド活動の人間関係に疲れ果て、
自分の好きな曲を好きな解釈で完結できる音楽にあこがれて、
アコースティックギターを入手しようとしたのが1年前だった。
私はギターフリークで、エレキギターは断然Gibson党だった。
だが、アコースティックはMartinだと決めていた。

ショップに出かけてDモデルを抱えると、ボディーの厚みが有りすぎて、
私に弾けるのか?と心配になった。加えてスケールが長い!
Gibson党だった私にはDモデルのスケールは具合が悪く、
店員さんに000モデルを勧められた。

抱えやすい!弾きやすい!私にはピッタリなギターだと思った。
目の前に000の18、21、28が並んだ。ブラインドテストだ。
当時の私は「微妙に違う音だ」と感じた。どれも魅力的だ。
しかし低音がはっきりと出るギターを選ぶと、それは000-28だった。

選んだ000-28は見るからにボロボロで、茶色に変色した汚いトップ、
見れば何箇所か割れている。何と汚いギターだろう。
エレキギターでオールドに慣れている私も、さすがに笑ってしまった。
裏返すと魅力的なローズウッドの木目。ハカランダだそうだ。

店内のギターを何本も何度も弾いたが、この汚いギターが気に入ってしまった。
何と言っても張りのある音、素晴らしいネックグリップ。
1954年の000-28!私はエレキギターを数本処分して購入した。
こんなギターは私が買ってあげないと可愛そうだと思った。

弦高をいじくって、弦をいろいろ試し、ようやく自分向けのセッティングができた。
いろいろ試しているうちに、どうやらMartinの魅力がわかってきた。
Martinには魔力がある。本気でそう思う。
それは「鳴らした途端に素晴らしい音がする!」という様な陳腐なものでは無い。

魔力とは、Martin以外のギターを弾くと、何か落ち着かないのだ。
で、Martinを弾くと、不思議と安心感が心の中をよぎる。
000だろうがDだろうが、18だろうが28だろうが、それは同じ。
何か共通した言い表されないモノがMartinには宿っているのだろうと思う。

人生の半ばにして素晴らしい楽器と巡り合ったものである。
スモールサイズの18にも憧れ始めた。
魔力を持つMartin、今後もずっと付き合っていくことになるだろう。

 
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