2010年3月1日
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「プチFコードはDm7」
 
(大竹りゅうじ/1966年生/東京)


 器用な私の兄は誰から教わることもなく、学習雑誌の特集「2週間で独習・フォークギター」等を読んだだけで、父のガットギターを使って、さだまさしさんやかぐや姫等をコピーしてしまう人でした。(鉄弦張りのネックは恐ろしく反っていたのにかかわらず)

 中学1年の時、兄を拝み倒して、CとG7を教わり、約1ヶ月くらいかかって「でんでん虫」が弾けるようになりました。

 それからはFコードの出てこない曲を探してはジャカジャカとストローク。

 母から「ジャンジャラ♪ジャンジャラ♪ばかりやってないで、勉強しないさい!」と小言を言われても耳には入らなくなっていました。

 そして誰もが乗り越えなければならない壁、Fコードにぶち当たります。

 再び兄を拝み倒しました。
(兄ちゃん今日からぼくは、あなたのしもべ・・。)

 兄曰く、
「のぼせるんじゃない!お前の才能ではFコードはまだ早い」
「Dm7を教えてやるからこれで誤魔化せ!」
「但し、弾くのは1弦から3弦までだ。」

 音符を読めない私は素直に従いました。

 これでフォークの名曲たちがかろうじて弾けるようになりました。

 このプチFコードをマスターしてしばらく経った後、祖母(母の母)にモーリスW40を買ってもらいました。

 それから今日まで毎日が楽しくあっという間に過ぎていったのは言うまでもありません。
 
 祖母はもちろん、父と母、そして兄がいなかったら、この世知辛い世の中で、こんなに楽しい時を中心に過ごせてはこれなかったと思っております。

 これからも感謝の心を忘れずに皆様と楽しい時を過ごすことが出来るのならば最高の人生だと思っております。

 応援団のみなさま、今後とも末永くよろしくお願いいたします。




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