富が世界を腐らせていく
 
山下
  
今、世界がどんどん腐っている。

アメリカだけでなく、かつては社会主義であったロシア、中国も利己主義的な資本主義の悪弊に染まり、最悪の格差社会になろうとしている。

金融市場で生まれた巨大な資金が、先物取引市場に流れ込み、石油や穀物など人間の生存に必要な製品の価格を吊り上げる。そして、その利益は富を占有する一部の連中の懐を肥やす。そんな連中がアメリカやロシア、中国という大国を動かしている以上、その格差構造は変るべくもない。

穀物市場の高騰により、WFP(国連世界食糧計画)が計画しているアフリカの貧しい国々への食糧支援が減り、多くの国で飢餓状態に陥るのが避けられない状況にあるという。

戦争で利益を得る兵器を作る連中を「死の商人」と呼んでいた時期があったが、現代では石油や穀物の先物市場で巨額の富を動かす投資家の連中こそ「死の商人」と呼ぶにふさわしい存在だろう。

そして、そんな先物取引の金融商品が組み込まれた商品ファンドを買って死の商人に加担している連中が、我々のすぐそばで平気な顔をして暮らしている。

戦争という、兵器で人を殺傷する行為に反対する連中は、多くの貧しい者たちの命を奪おうとしている現代の資本市場取引になぜ反対の声を上げないのだろうか。

富が世界を腐らせている。それも人々の心を腐らせている。
腐ってしまった心には、もう、腐っていることを自覚する能力は残っていない。

それが現代社会の悲しい現実だ。


2008/04/22
<<戻る