あの頃の歌のようなあの頃のお話
 
(⌒杰⌒)AMAG'Y
  

あの頃 二人の アパートは ポットン便所が 匂ってた
二階の人が 歩くと揺れた 二人に似合いの 二階建て
覚えますか 雪の夜も 赤ちょうちんに 誘われて
ホッケとレモン酎で 酔いました 
そんな思い出のある、★AMAG'Yです

お元気ですか?
そして今でもスカ屁は臭いものだと 言ってくださいますか

大学の寮生仲間の「 F 」と 四年目の春に 僕は寮を出た
借りたアパートの隣同士 古くて安いその建物で
僕らは一年だけの アパート暮らしをした

大阪生まれのあいつの趣味は エロ本集めと酒
そういう僕の趣味は ギターと酒
気に合うことと そうでないこと それがちょうど程よかったね

段ボール一杯のエロ本を ヤツはとても大事にしていて
押し入れの中には 「南極二号」もどきも あったっけ
薄い髭と天然パーマ ド近眼メガネとガニ股がトレードマークだった

ある夏の雨の日に ヤツの部屋から聴こえてきたのは
地元出身のフォークシンガー やけに高い声の男の歌声
それが「松山千春」との出会いだったのさ

大学を卒業して 僕たちは同じ会社に就職をした
僕と一緒に旅立ったのは、奴とYAMAHAのフォークギター
ハードケースを重たそうに抱えながら 僕たちは船と長距離列車を乗り継いだ

着いた先の就職先 年商100億の食肉会社
やつは店に配属 僕は総務付となって 社内報を作ったのさ
やつはまた寮に住み 僕は少し離れた町でアパートを借りた

もう昔のように 奴が僕のところに来ることはなく
僕もまた 奴のアパートに行くこともなくなった
それはその後の二人にとって 離れ離れの幕開けだった

男同士の友情なんて 気の利いたものじゃなかったし
僕は今でも奴のことを 友達なんて思っていない
そして奴も僕のことを 単なる元・寮生と思っているだろう

やがて時は流れて 僕は大学のある街に帰ってきたんだ
けれどもヤツはそのままだった そのまま元の会社に居続けたよ
風の噂で知ったことにゃ あの会社が無くなってしまったこと

流れ流れてヤツはいま 女房子供に手を焼かせながら
大きな会社の小さな支店で働いていると
年に一度の便りが教えてくれた

僕も今は、女房息子たちにあきられながら
たくさんのアコギに囲まれて 
日々の暮らしを古い歌に託して唄っているのさ

奴も禿げたが僕も禿げた 奴もメタボだが僕もメタボだ
古いあのアパートの 二人は今よりも二回りは痩せていた
時の流れは残酷なのか それともそれが自然なのか

それが自然だと分かるなんて なんて不自然なんだろう
そんなことを唄った男も還暦過ぎて 頭が淋しくなった
老いることは誰にも自然に訪れる必然なのだ

あのアパートで 壁越しに聞いた松山千春も
今では潔くつるっぱげ 往生際の悪い若禿げ隠しを笑ってる
やはりアナタは凄かった 今でも尊敬できる人

ヤツと千春とエロ本と南極二号
部屋とワイシャツと私
似て非なる、というより天と地ほどのイメージ格差

それでも私には かけがえのない想い出
それでも私には ほろ苦い青春の想い出
それでも私には それでも私には

以上、見事に「70年代フォーク」調に決まったところで、
それじゃ、また!。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))


  
2012/05/10
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