YD-304のリペアレポート(そのC)
味噌ッカツ
 
■ニカワの溶かし方
@ 金属の容器(私はビールのアルミ缶を切って使用)にニカワを少々(3ミリ程度の粒状の場合は20個程度かな)入れ、ニカワが軽く浸るくらいに水を加える。
※金属容器を用いるのは熱伝導効率が良いからです。
A 小さな鍋(ミルク沸かし程度)にお湯を入れ、ニカワを入れた金属容器を浸す。
※ニカワを溶かすときに直火は禁物。焦げ付いてしまいます。
B この季節は上手い具合に石油ストーブがあるので、その上において暫く放置するとニカワが溶けてくるので、水加減を調整してガムシロップ程度の粘度に調整する。
※粘度が高すぎると、均一に延ばせなくなる以外に、厚みが生じてしまう。
  結構シャビシャビでも大丈夫です。
※ニカワはホームセンターで入手が可能です。私はドイトの接着剤コーナー
  で見つけて240円で購入しました。
※作業をはじめる前に、Cクランプの固定側(ネジで動かない方)に厚手のフ
  ェルトを貼っておく。

■指板とネックの張り合わせ
@ 固く絞った雑巾で、ネックと指板の接着面を綺麗に吹き上げる。
A ニカワの伸びを良くするため、麻布用温度に調整したアイロンでネックと指板を十分に暖める。
※このときはスチームを出さない。
B 割箸等で溶けたニカワをかき混ぜて、均一で滑らかなガムシロップ状にする。
C 刷毛にニカワをつけてネックと指板に薄く均一に塗り込む。ニカワは塗ると直ぐに水分が吸収されて乾きだすが、気にせずに残った面に塗り込んでいく。
※タップリと塗る必要はなく、ニカワでネックと指板の表面の色が変化すれば
  十分。
D ネックと指板の両方が塗り終わったら、アイロンのスチームを出してニカワの表面を暖めながら湿らせる。
E 指板をナットに押し付けるようにしてネックと張り合わせる。当然のことだが、ズレに注意する。
F 添木の端がサウンドホールにはみ出さないようにして指板の上にあてる。ナット側は浮いてしまうので厚手のフェルトを挟み込む。
G Cクランプで添木をあてたネックを固定する。締め付けるときに指板がずれてしまうことがあるので注意する。
※ずれてしまった場合には、慌てず、指板にあて布をしてアイロンで暖めると
  簡単に剥がせるので、剥がした後にアイロンのスチームをあてて、
  もう一度やり直し。

■指板とネックの隙間処理
どんなに慎重に作業しても、指板とネックの間に僅かな隙間が生じてしまいます。
@ 金属容器に入ったままのニカワをもう一度暖めて溶かす。
A 刷毛にニカワをつけて、指板とネックの隙間に塗りこんでいきます。ニカワは乾燥すると若干収縮するので、このときは多少は見出し気味に多めに塗りこんでいく。
B もう一度Cクランプで締め付けておく。

◇第3日目はここまで。
次の工程に進むにはニカワが十分に乾燥するまでには一晩以上掛けた方が無難でしょう。あとは、隙間を埋めるために塗りこんだニカワや、ウッカリはみ出してしまったニカワの取り除きと仕上げと、ペグの取り付けです。

次回レポートは、最終仕上げと弦の取り付け、音出しのレポートをお届けします。
弦はエリクサーのNanoweb ライトゲージを用意してありますが、S.Yairi純正の「SY1000XL BRONZE EXTRA LIGHT GAUGE」を張ってみることにします。


 
2002/12/29
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