2004年8月22日
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「されど我がギター人生」
 
(みつる/53歳/福岡)
 


物心ついた頃には三橋美智也や春日八郎などの歌謡曲を歌詞の意味も知らずに歌っていたという音楽好きの少年は、中学時代にはトランジスターラジオから流れる音楽を暇さえあれば聴いていた。

とにかく音楽であれば洋楽であろうが演歌や歌謡曲であろうが何でも聴いていたが、ある日、イギリスの四人組のバンドの歌を聴いてカルチャーショックを受けた。

その四人組の名はザ・ビートルズ。
それ以前からPPMやブラザース・フォーなどのモダンフォークやザ・ベンチャーズなどギター伴奏の曲が好きだったが、ビートルズを聴いてからはギターは聴く楽器じゃなく、自分で演奏する楽器だと思うようになった。

高校時代に、自分の持っていたお宝のLPレコードと友人の持っていたカワイのガットギターと交換して、ようやく念願のマイギターを手に入れることが出来た。

大学時代には、よしだたくろうの登場にザ・ビートルズ以来のカルチャーショックを受け、ヤマハのFGを持っていた友人とフォークソングの弾き語りをして、よしだたくろうになりきっていた。

大学卒業後の就職先は当時急成長していた大手スーパーチェーンで横浜市内のショッピングセンターに配属された。
初任給で念願の鉄弦のフォークギター、ヤマハFG110を購入する。

職場は男性2対女性8くらいの比率でただでさえ男性は注目されている上に、ギターが弾けるとなると周りには自然と女の子が集まり、職場でフォークソング愛好会を作り会長になる。
もちろん、会員は会長以外は全員女性でまるでハーレム状態! 
このときほどギターを弾いてて良かったと思ったことはなかった。

そして月日は流れ、50代になった今でも故郷の福岡で今でもギターを弾いているが、地元でオヤジバンドを結成していて、時々呼ばれて演奏をするが、自分たちの演奏する70年代のフォークソングを聴いていたオーディエンスの女性がその歌に涙ぐんでいるのを見てギターを弾いていて良かったと思う。


  
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