2005年2月9日
<エッセイ一覧へ>

「命名」
 
(みつこ(♂)/54歳/オランダ)
 

3度目のヨーロッパ駐在になる。30台半ばでドイツに5年。40台でオランダに5年。そして、また50を過ぎ、2度目のオランダに来て、単身赴任の1年半が過ぎた。

冬のヨーロッパの乾燥度合いは、信じられないくらいで、時に湿度20%まで乾く。加湿器などと言う、洒落た文明の利器は持ち合わせておらず、慌てて鍋にお湯を沸かす。ひたすら沸かして湯気を出す。10分もすれば、居間の湿度は40%くらいにまで上がり、取り敢えずは一安心。自分の肌が乾くのを心配する女房と違って、2台のギターがひたすら気に掛かる。

昨年、時間の都合が付いて、1ヶ月半ほど来てくれた古女房が、二人の娘(Martin D40R & Furch G25SR12)をあまりにも丁寧に扱う私を見て、「あたしより大事なの?」とのたまった。「う〜ん」、そんなの答えられない。

2月に、(大胆にも)アメリカから通販で買ったD40R。5月に電話で注文しておいて、7月にチェコまで飛んでいって入手した、Furchの12弦。どちらも私の宝物。

「そんなに大事なら、私が名前を付けてあげる。カテリーナとシルビアにしなさい。」

私は「???」。その時、女房が読んでいた「プラハの春」と言う、外交官出身の人が書いた小説の、登場人物だった。

私は、「そんな、人に決められるのいやだ。じゃあ、マドレーヌとエクレアにする!」

私には、すでに成人した二人の娘と、すねかじりの息子が一人いる。
命名の顛末を聞いた長女は、「どうして、私たちの名前じゃないのか、わけわかんない!」と言っている。という事は、もう一人、増やすことを前提に・・・(?)うむ、娘の読みは深い!

でも、実はもう決めている。3人目は、ドイツの「湖木」(Lakewood)にしようと。そして名前は?

もちろん、モンブラン。実は、私の実家は、九州で100年続いた、小さなお菓子やさん。

でも、困った。日本では、73年から連れ添った、いわば古女房みたいなS.YAIRI YD-305が、待っていて、彼女には、名前を付けていなかった。でも、いまさらねえ。

今日もエクレアの2フレにG7のカポをつけて、ホテルカリフォルニアを。

 
 
エッセイ一覧へ→
トップページに戻る→