2005年5月24日
<エッセイ一覧へ>

アコースティックスイング万歳!
 
(ブッチ/33歳/東京)

 

ジョン・ミラー。彼はアコースティックギターを駆使し、カントリーからブルース、ジャズまでをフィンガーでスゥイングさせるアーティスト。このリレーをお読みの皆様には、馴染みのある方も多いと思います。高校時代から、アコースティックギターにはまっている私にとって、彼は理想の演奏スタイルを具体化した一つの到達点。もちろん、私の演奏能力は遥か及ばずに高校卒業時から時が止まってしまったかのように真空パックされたままでトホホです。

さて、ここ数年来続くアコースティックスゥイングの静かなブームは、私にとってまさに福音。10代から探し求めていたスタイルの音楽が次々とCDで再販されるようになってきました。今から、15年程前には考えられなかった状況です。その当時、'90前後はまだまだテクノ時代だったですからね。その中、河原で玉を拾った思いをしたのがフェアーグラウンド・アトラクション。フォーク、カントリ〜ロック、ジャズをアコースティックでスイングする彼らにすっかり魅了されてしまったのです。

ただし、甘美なアコースティックスゥイングを知ってしまった後だけに、新たな音源探しが大変でした。何しろ、まだまだテクノ時代。それに知識もマネーも乏しい10代の若造でしたから(今は30代)。豊富な音源知識と潤沢な予算が欠落する状況で、CDを買う時はそれこそ必死。レコード屋を覗いては、ジャケットに書かれた説明を食い入るように読み、「間違い」をなるべく少なくしたものです。また、マニアックな店に行くと、「フェアーグラウンド・アトラクションみたいなスタイルのバンドってありますか?」と尋ねたこともしばしば。そして、大抵の答えはノー。

音源探しの苦労が永遠に続くかと思われましたが、21世紀を迎えて状況が一変。皮切りは、ルゥ・ロンドンの再販でした。バリバリのスゥイングギターにもうビリビリ。狂うように聞きまくる一方で、アコースティックギターでスゥイングする音源を数々と見つけるようになりました。セントラルパーク・シークスやトニー・ライス・ユニット、ダン・ヒックス等がその代表。アコースティックスゥイングという言葉を知ったのもその頃です。

アコースティックスイングの潮流で再販となったのが、冒頭のジョン・ミラー。アルバムは、「ガーシュインでスイング」です。これは、耳に馴染みがあるガーシュイン・メロディーに加え、お気に入りのアコースティックギターが主役。ハマらない方が不思議だったですね。その後、彼のアルバムはことごとく再販となり、'03には新譜「Hey There」もリリースされました。今、彼のアルバムはCD棚の特等席に鎮座しておりしばらく動きそうもありません。

彼の超絶テクニックをコピーすることは永遠の努力目標となってしまいそうですが、1つだけ嬉しい共通点を見つけました。それは、私の愛機マーチンOM18をジョン・ミラーも使っていることです。もっとも、私のは最近のモデルですけれども・・・。


 
エッセイ一覧へ→
トップページに戻る→