2010年8月16日
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「D−28への道のり」
 
(タタラオ/1964年生/埼玉)


 子供が親離れをはじめた2007年の秋、妻と立ち寄った大型ショッピングセンターの楽器店に、綺麗なギターが飾られているのに惹かれ、店内へフラフラと引き寄せられました。
へぇ〜、なんか懐かしいし、今は値段的にも買い易いのねぇ〜と関心し、女性シンガーがCMで弾いているアコギをホゥホゥと見ていましたら、店員さんが寄ってきて、
(店員さん) 「何か、気になる物はありますか?」
(私) 「この、フォークギターが気になる」
(店員さん) 「えっ?!これにお金を出すなら、日本のメーカにしないさい!もったいない」
と、いろいろギターの材質・作り方などを解説してくださり、その店員さんの正直な人柄に惹かれ、国産の初心者向けモデルを1年の禁酒が条件という「妻の条件付き許可」をもらって購入しました。
 約30年ぶりにアコギに触れ、高校時代に流行っていた「フォークソング」の楽譜引っ張り出して、思い出しながら練習を始めました。
インターネットでアコギの練習方法等を検索している時に、「押尾コータローさん」や「岸部眞明さん」の曲に出会い、彼らの大ファンになっていきました。
しぱらくは、国産の初心者向けモデルで練習していましたが、何か物足りない・・・。
 会社の後輩に相談したところ「そろそろ2本目のギターの買い時では?国産ではヤイリが良いですよ」とアドバイスを受けました。
 さっそく楽器店へ行き、何台か在庫があったので試奏してみましたが、ピンときませんでした。そこで、気になるヤイリギターを取り寄せてもらい、結局YW−500Rがすごく気に入り「当面、禁酒継続・もう、キダーは買わない」ことを条件に購入しました。
それから、より本格的に練習を始めました。
 ナントカ簡単な曲が弾けるようになった頃、この楽器店から「マーティンフェア」を開催するので来ないか?と誘いを受け、初日の金曜日の夜に冷やかしのつもりで妻と一緒に覘きに行きました。
広いスタジオに所狭しと、いろいろなマーティンギターたくさんが並べられています。
(店員) 「これ、全部クロサワ楽器から持ち込んだ正規品です。是非、全部試奏してください」
(私) 「えっ?ホントですか?」
お客は私と妻だけです。
高級ギターの代名詞で、自分が触るなど夢にも思わなかったギターたち・・・
100万するギターも自由に試奏してくれと・・夢中で10数台弾きました。夢のような時間・・・・
あまりの音の良さに、衝撃を受けました。私が求めていた音だぁ〜っと。
それから私は、マーティンギターに“恋”をしてしまったようでした。何をしていても、頭に浮かんできます・・

 それから、2ヶ月間・・・家族会議に「マーティンギター購入臨時予算案」をアレコレ理由をこじつけて提出しつづけましたが、反対4 賛成1で毎回否決され続けていました。
そんな中、その楽器店の例の店員さんから電話があり、「フェアが終わり、残ったギターを返さねばならないところを私のためにお奨めのD−28TC2本をとってある」とのこと。展示せず、倉庫に大切に保管してあるので、是非また試奏しに来て欲しいと・・・。
 妻からは「営業トークだから、よしなさい!行ったら、子供みたいにまた欲しくなるでしょ!」と言われましたが、どうしても、もう一度逢いたくて、嫌がる妻を無理やり連れ出して、ノコノコと出かけました。
やっぱり、すばらしい音です。なんでしょう「シルクの服」のような感じ・・・
店員さんの試奏の音を妻に聴かせ、
1. 本物の音だ
2. 限定モデルなので在庫が無い
3. 僕が買わないと、ネット販売で予約が入ってるのですぐ売れる。
= もう、手に入らないぞ。
と、再度、妻を何度も説得しました。
「その子犬がすがるような目に負けた。これを一生ものとし、一生買わないことを条件に・・・」と許可が出て、あこがれのマーティンD−28を手に入れました。

それから毎日、ヤイリとマーティンを弾いています。
全く上達しませんが、アコギはポロポロ弾いてるだけで心が癒されます。
いゃ〜、ギターって、ホントに良いものですね・・・。
知り合いを誘って、北埼玉でもボチボチ活動を始めようと思います。





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