2010年12月30日
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続・「赤い花白い花」から
 
(Garnet-KAZ/1961年生/群馬)


リレーエッセイ2巡目の執筆をとお声がけいただいた。応援団への登録時期が早かったにもかかわらずなかなか団のイベントにも参加出来ずにいる、不義理なゴースト会員みたいな私(汗)。なので非常〜に恐縮してしまうのだが、せっかく山下さんにお声がけいただいたので、普段の不義理をお詫びする気持ちも込めて、書かせていただくことにした。6年半ぶりくらいのエッセイだ。

前回2004年8月には、「『赤い花白い花』から」と題して、同曲の作詞作曲者である中林三恵さんとの出会いのことを書いたので、話は少し古いがその続編を書かせていただこうと思う。

「赤い花白い花」という歌はもともと中林さんが高校生の時に渡良瀬川の堤防を歩きながら作った歌だったそうだ。その後進学先の群馬大学でこの歌をみんなで歌っていたそうなのだが、それがいつしか関西方面にも口伝えで広まって、当時赤い鳥のメンバーだった後藤悦治朗さんの耳にも届き、赤い鳥のレパートリーになった。で、赤い鳥がレコード化しようと思ったのだが、作詞作曲者が不詳、という状態でレコード化するのもまずい、ということで関西のラジオ曲で、「この歌の作詞作曲者をご存知の方はご連絡ください」と放送してみたそうだ。その関西の放送をたまたま群馬大学時代の中林さんの知人が関東(!)で受信して聞いていて中林さんに連絡をして来た。「関西のラジオ局で三恵さんのこと探してるよ。」と。

で、ラジオ曲に連絡を取った中林さん。局からは「作詞作曲者である証拠が何かありませんか?」と言われて、群馬大学当時にプリントで配った同曲の楽譜などを送って証拠として確認してもらったそうだ。これが「赤い花白い花」の始まりのエピソード。群馬の学生が作り歌った歌が口伝えで関西へ。そしてそれがレコードになって、いつしか何十人ものシンガーたちがカバーする、日本の、いやアジアのスタンダード曲のひとつになった。まさに伝説。伽話。みたいな不思議な話で、これはもうフォークルの「イムジン河」伝説に匹敵するくらいの話だと私は思っている。

ついでにもうひとつエピソード。「♪あーかい花つーんんで」のメロディを口づさんでみて欲しい。「あーか」の部分は同じ音になっている。いますよね(^^)。中林さんの元歌では「♪あーかい花つーんんで」の「あ」の1音は関東のイントネーションに合わせて実は低い音だったのだそうだ。「赤い鳥さんは関西のイントネーションで歌ったので、少しメロディが変わっちゃてるのかしらね(笑)」と中林さんがおっしゃっていた。

そんな話をしてくれた中林さんにある時聞いてみた。「もちろん『赤い鳥』のメンバーの皆さんにはお会いになったことはあるんですよね?」 すると意外な答え。「それが一度もお会いしたことがないのよね。芹洋子さんには何回かお会いしているのだけれど。」

・・・という話を聞いていたので、実は2005年10月。赤い鳥のメンバーだった後藤さん平山さんつまり「紙ふうせん」のお二人が11月に群馬県で人権週間のイベントでライブをするという情報を得て、出過ぎた真似かなと思いはしたのだが、思い切って紙ふうせんさんの事務所にメールを送ってみた。誰の紹介でもないし何の伝手もない。相当無茶な話だよな〜と思いつつ、「群馬に住んでいる赤い鳥時代からのファンのひとりでガーネットというフォークユニットを妻とふたりでやっている者です。ガーネットでは『竹田の子守唄』や『まつり』『赤い花白い花』などもレパートリーにしていて、自主制作のCDにも収録しています(記述者注:いかに自分が怪しい者でないかとアピールするために腐心したつもり-苦笑)。『赤い花白い花』の作詞作曲者である中林さんとも親しくさせていただいているのですが、群馬においでになるのであれば、是非中林さんとお会いになりませんか?」との内容で。

かくして紙ふうせんライブの前の晩。2005年11月29日。場所は紙ふうせんのお二人の宿泊先の高崎市内の某ホテルのロビー。「赤い花白い花」を赤い鳥がレコードにしてから35年の歳月を経て、同曲の作詞作曲者の中林さんと、最初にこの歌をレコード化した後藤さん平山さんたちの世紀のご対面が実現し、私たちガーネットはその目撃者となった。・・・というか、役得でちゃっかり一緒に話に加わらせてもらってしまった。勢いもあって赤い鳥をリスペクトする1ファンとして、「まつり」を収録したガーネットのCDを紙ふうせんさんにはお渡ししてしまった。

翌日のライブには中林さんと一緒に私たち夫妻ももちろん足を運ばせてもらったのだが、そこではもちろん「赤い花白い花」も平山泰代さんの歌唱指導つきで会場全員で歌い、また、予定になかった「まつり」を、「群馬で活動しているあるフォークグループの方がお好きだとおっしゃっていたので、予定にはなかったのですがやってみます」とのことで演奏してくださった。とにかく素敵な思い出となった。

───ビリヤードのボールをひとつ突いてみる。するとそのボールが先へ転がり、別のボールに当たる。そしてそのボールが思いがけない方に転がってさらに別のボールたちにぶつかり、そうしてストーリーがどんどんどんどん展開して行く。「赤い花白い花」という歌との出会いが次から次へと面白いストーリーを私にもたらしてくれるのを思うと、そんなビリヤードの風景が思い浮かぶ。これまで「戦うオヤジの応援団」にはゴースト会員みたいな関わり方しか出来ていなかった私だが、2011年はこのプールでもひとつボールを打たせてもらおうかな、と思ったりしている。きっとここでもどんどんどんどん新しい出会いやストーリーが生まれて来るのだと思う。山下さん。機会があれば是非色々なイベントにガーネットも参加させてくださいね(^^)!
 
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