2012年3月25日
<エッセイ一覧へ>

「歌声あまね」
 
(アップル/1948年生/大阪)


 高校入学祝に祖母に買ってもらったギターで、クラシック・フォーク・エレキとギター三昧だった高校の3年間、大学では「ジ・アップルズ」というグループを結成、60年代後半に関西を中心に平和や社会の問題をテーマに社会派のフォーク活動をしていました。今では有名になった人たちと一緒の舞台や、若者に人気のあった深夜放送に出たり、もちろん自分たちでもコンサートを開いたりしていました。3年で足を洗い、大学に戻って勉強不足を恥じ留年、卒業後のサラリーマン生活の中では結婚パーティくらいしか歌うことはありませんでした。

 サラリーマンを卒業してから、昔の社会派フォークを歌ってみても聞いてくれる人がほとんどいません。応援団の本拠・柏で歌わせていただいたこともありますが、機会はとても少ない状況でした。このままフォークの殻にとどまっていたなら、誰に聞いてもらうことなく私のギターも朽ちていくところでした。

 ところがあるとき、若いときに愛唱したこんな歌なら歌いたいというリクエストをいただき、それにお答えして「歌声あまね」を始めました。そうしましたら、戦後のベビーブーマーとその前後の世代に好評で、今では月に1回第2土曜日に開催するほか、あちこちの集まりにお伺いしています。最初は60年代・70年代当時のフォークや歌謡曲が中心でしたが、その後ジャンルを広げ、戦後すぐの君の名はの挿入歌「黒百合の歌」、「上海帰りのリル」や、「月光仮面」「バス通り裏」「ひょっこりひょうたん島」などのテレビ主題歌、グループサウンズ、童謡・唱歌まで400曲のレパートリーになりました。

 若いころの歌は1番は記憶しているのですが、2番・3番になるとあやふやです。全部歌ってみて、初めてああこの歌はこんなメッセージが込められていたんだ!と感心します。童謡・唱歌にもそのことは大いに当てはまります。

 現在のレパートリーの中に、昔のフォーク時代に歌っていた「花はどこにいった」の原作に忠実に訳した歌も入れています。また「原爆許すまじ」も皆さんのリクエストで歌っています。この歌は当時ピート・シーガーが日本語で歌っていました。当時の社会派の歌を歌い継がなければ、という思いは自分の生涯の仕事だと思っています。

 私のホームページは次のとおりです。ご興味のある方はいちどお越しください。またこちらからもお伺いいたします。http://www.amanekk.com/utagoe.html

 歌を歌っていますと、皆さんのお顔が昔その歌を歌っていた時代のお顔に戻られます。そして頭の中も気持ちも当時に帰って、歌と歌の間のお話も盛り上がります。歌を歌うことは心身の健康にとてもよいことを実感します。そして、新しい仲間創りにもなります。みんなで一緒に歌う、その楽しさをお作りする喜びを感じている今日このごろです。

※現在のレパートリーをPDFでご紹介します。⇒こちらから
 




エッセイ一覧へ→
トップページに戻る→