日本フォークソング史上初??
ワカ
 

 皆さんよくご存知と思いますが、コードにはいろんな種類があり、ノーマルのコードと組合せることによって、曲のアレンジコードに様々な表情をつけられます。
それらの中で稀に使われるコードのひとつに「マイナー・セブンス・フラット・ファイブ(○m7−5または○m7♭5と表示)」があります。これは○m7の5度の音を半音下げることでできます。ギターで例えると、Dm7の場合3弦2フレット(=5度の音)を1フレットにすることでDm7−5になります。
 
 私は数あるコードの中でもこのコードが特に好きなのですが、それはギターコードとしても押えやすいこともさることながら、なんといってもこのコードが持つ独特の響きに魅力があるのだと思います。印象としては何となく湿っぽいような、ちょっと屈折している?ような感じもあり、アレンジに微妙な陰影ができるような気がします。

 先日、分厚い歌本をパラパラめくりながら、いろいろな曲を適当に弾いていたのですが、この「○m7−5」というコード、最近の曲では結構お目にかかることができます。使い方としては、メジャーからマイナー(またはその逆)へ移るときにチョコッと(半小節ぐらい)挿入することが多く、ある程度のパターンがあるようです。
@C → Bm7−5/E7 → Am(A7)
 (「世界中の誰よりきっと」、「少年時代」サビ、「夏のクラクション」イントロなど)
AC(G) → Em7−5/A7 → Dm
 (「少年時代」、「さんまのまんま」の曲出だし←桑田圭介作曲)
BDm → Dm7−5 → C
 (洋楽ですが、Gオサリバンの「アローン・アゲイン」)   

 ではこの「○m7−5」、日本のフォークソング(またはニューミュージック)ではいつ頃から使われ始めたのかでしょうか?以前からこのことを少し意識していました。あの大御所・松任谷由実も結構このコードを使っています。私が調べたかぎりでは初期の曲である「魔法の鏡(1974)」のAメロとサビの両方で使用したのが最初と思われますが(アルバムにのみ収録)、この事例もかなり古いものといっていいでしょう。
 しかし!もっと古い曲がありました。それは小坂明子作詞作曲の「あなた(1973)」です。歌い出しのAメロ部分で、C→Em→Dm→G→Em7−5/A7→Dm〜 と使われています。現在私が認識している狭ーい範囲では、この曲が日本フォークソング系の音楽史上初の「○m7−5」使用曲であると思っているのですが、いかがでしょうか?
 
 実際には作曲者よりもアレンジャーやプロデューサーの影響もありますので、作曲者以外の要素も考えられます。仲間内で雑談していた中では、小坂明子がギタではなくピアノを使って作曲していたであろうことの影響もあるのでは?という意見もありました。
 曲のジャンルを歌謡曲などまで広げたりすると、職業作家の曲もあるでしょうから、まだまだ遡れると思います。特にムード歌謡(「○○ブルース」とか)なんかにはもっと昔から使われているのではないでしょうか。古いフォークソング系の曲で「マイナー・セブンス・フラット・ファイブ」を使用した例を「発掘」された方は、くだらないことで申し訳ありませんが、ぜひとも教えてください―。

(2003.1.25 内容一部改訂)


2003/01/21
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