成人おめでとう☆
Neko
   マユコへ

 成人おめでとう☆

 「憶えてないんだけど 生まれたいって言ったっけ?」

 4才児の突然の質問に言葉を失った。幼稚園もすでに あなたにとっては
 生き苦しい場所だったよね。
 決められた時間に 決められた事をする社会の中に、上手く溶け込んでしまえ
 れば こんなに楽なことはない。

 一度でも立ち止まって「なぜ?」と思った瞬間から世界は色を変える。

 幼いあなたに理解できる答えを誰も思いつかなかった。
 実は、誰もそのホントの答えを知らないのだから・・・

 なんとか折り合うことを覚えつつあった時、心無い教師の一言が背中を
 蹴り上げた。
 再び 世界は色を失った。

 生きる意欲を奪われたあなたは、ほほ笑みも 食べる事もやめた。
 まるで どんどん小さくなって消えて行こうとしているかのようだった。

 あなたの生命だから あなたにまかせるよ。
 そう思った。

 生まれて10年そこそこの生命力は、それでもあなたを この世界に
 つなぎとめた。
 「死んじゃうのは怖いと思った。」
 あなたは あとで言ったね。

 今 晴れ着に身を包んだあなたは、案の定 着心地悪そうに不機嫌な顔。
 カメラの前では それとわかる造り笑い。

 わかってるよ。こみ上げる感情を素直に受け止められないだけ。
 でも だいじょうぶ☆
 こんなふうに これからも一つ一つ いろんな経験を大切に心に刻んで
 いってほしい。

 せっかく生まれてきたんだから、一つでもたくさん嬉しい事をあげたい☆
 その腕や 足につけた傷跡の数よりたくさん、たくさん。

 とりあえず20年、生きてくれてありがとう☆



2004/1/18
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