2004年6月13日
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「煩悩多き人間に今できる事」
 
(タク/39歳/千葉)
 
私は25歳で結婚して現在は小4と小1の娘がいます。
仕事はオートバイの部品製作や修理、カスタムなどを手がけるショップの運営で、
30歳の時に立ち上げてから今年がちょうど10年目です。
昔から独立願望が強く、資金集めに奔走した25〜30歳にかけては、
周りの仲間と同じように物を買うという事ができませんでした。
(もちろんギターなんぞ完璧に×です)

しかも新たに始めようとする商売は、
それまでの実績とは180度異なるものでしたから、
「趣味の延長で何ができる」と冷ややかな意見の中での大奮闘です。
独立してからの10年間はまさに山あり谷ありの連続で、
家庭崩壊にもなり兼ねない状況でしたが、
嫁さんの頑張りのおかけでここまでこれたと言っても良いでしょう。

さてそんな私の音楽活動ですが、
メインはアコギの弾き語り、そして昨年から少しずつ手をつけ始めた
インストをちょっとした機会に披露する事です。
男女のアーティストを問わず「いい曲だなぁ〜」と思えばコピーするわけですが、
10代から20代前半にかけて強烈に影響を受けたメッセージフォークに関しては、
全く封印したままで、特に戦争や環境破壊を否定する曲に関しては、
何度練習しても本番では口にできないテーマでした。
私の生活が成立っているのは、仕事&趣味においても
環境破壊に通じる事は百も承知。
それでも誇りを持って取り組んでおりますが、
煩悩の塊である私にとってあまりに重いテーマですから...

話は変わりますが、
今年の4月にあるミニサーキットを全日借り切って、
オートバイの走行会を主催しました。
起業してから10年目にして初めて主催した走行会です。
(他店の走行会やレースには度々参加していました)
一般的に行うツーリングとは異なり、
サーキットを全日借りる以上は人数が集まらなくては大赤字になりますし、
怪我人が出ればそれこそ最悪です。
またショップとして主催する以上ボランティアでは行えませんので、
きちんとした参加費は頂きますが、
少数精鋭で通常の業務をこなすだけでも大変な毎日ですから、
精神的、肉体的、時間的負担を考えれば何もしないのが一番楽です。

しかし...
単に物造りを行うだけでいいのか?
歳を重ねるごとに走る場を失って悶々としている人達の思いを、
少しでも開放してあげる場所を提供しなくて戦うオヤジと言えるのか?

数々の問題を乗り越えて走行会が終わり、
参加者の子供の様な笑顔を見た時に、
本当に幸せな気持ちでで一杯になりました。
この業界は相変わらず環境問題に課題は山積みですが、
まずはできる事からやるしかないな..

これからの自分の役割が少し見えてきた中で、
口にできる曲の幅ももっと増えていくかもしれません。
いずれにしてもまた皆様の前で演奏できる日を楽しみにしております。
 
 
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