2004年10月22日
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「ギターとは麻薬なのである」
 
(なべさん/51歳/横浜)


日々ギターを手放せない我々にとって、“ギターとは麻薬なのである”ということを精神医学的・行動心理学的に考察、論証してみたい(一部省略)。

1. 麻薬:麻薬が我々の心身に及ぼす作用は、薬物本来の薬理作用の他に@身体に及ぼす作用(身体依存作用)、A精神に及ぼす作用(精神依存作用)があげられる。

当初、人は何らかの苦しみから逃れるため(例:鎮痛作用を求めてモルヒネを摂るなど)に、麻薬を服用する。苦痛からの解放は人にとって、大きな安らぎであり、同時に一種の快感を伴う。初めは苦痛から逃れるために摂取していた麻薬に、やがて快楽のみを求るようになる。

つまり麻薬本来の薬理作用以外の精神的高揚感などの副作用を求めるようになるのである(麻薬とはモルヒネなどの鎮痛薬、バルビツレートなどの鎮静麻酔薬、ヒロポンなどの覚醒剤、LSDなどの幻覚剤を含めた総称だが、ここでは特に区別しないこととする)。

薬物の薬理作用以外の作用を求め、もっぱら気持ち良さや快楽を追求することを精神依存という。精神依存の度合いが進行し、麻薬なしてやっていけなくなると、様々な身体的不定愁訴(いらいら、手の震え、不眠)が起こるようになる。

この状態を身体依存と呼び、薬物の効果が切れるといわゆる禁断症状を呈し、麻薬を入手するためには、家族、社会・経済状況などを考えなくなり、反社会的行為をとることも辞さなくなる(以下略)……

……上記の文中、麻薬をギターと置き換えると個人的麻薬(ギター)中毒状況を把握できよう。
 
2. 我々の行動はある刺激が提示された環境のもとである反応を起こし、その反応が報われたか報われなかったかによって、当該反応の生起頻度は増減する。

つまりうまくいったり、ほめられるとその行動は増える。一方出来なかったり、罰を与えられたりすると減るわけである。反応と報酬/罰の時間間隔と頻度は不定な方が当該反応を維持する力が強いことが知られている。

例えばパチンコは一定時間若しくは一定数の球を打てば入るものではないし、デートも必ず毎週(一定間隔)とか3回に1回(一定の頻度)のお誘いに対してOKでない方がお二人の関係は長続きするはずである。行動とは反応と結果の関数なのである(――大幅に省略――)……

ギターの練習を考えてみると、時間をかければかけただけうまくいくかと言えば、必ずしもそうではないと思う(少なくとも私はそうだ)。練習すれば良否はともかくすぐその行動の結果が出る。すぐ結果が出ると言うことは行動の維持のためにはとてつもなく大事なことなのである(――詳細は省く――)……

かくして、あなたもわたしもギターの麻薬的音色に妖しく魅了され、ギャンブルのような完奏を求めて、正義と真実を守るため、日夜弾き続けるのであります。
 
Q.E.D.
誇大妄想分裂室長

 
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