2004年11月9日
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「マーチンとの出会い」
 
(ゆうたろう/50歳/石川)


私が最初にマーチンに出会ったのは、18歳の頃「ガッツ」という雑誌で見たのが最初だと思います。雑誌では、吉田拓郎やガロなどたくさんのミュージシャンが褒めちぎっていたし、実際マーチンをやっと手に入れたなどというインタビュー記事が掲載されてましたね。マーチンのドレッドノートかギブソンのハミングバードか、という感じの記事でした。特にD−45はフォークミュージシャンのステータスシンボルのようで、その鈴のような音にみんな惚れ込んだようです。

それから、20歳を過ぎる頃から実際に楽器店でマーチンをショーケースで見かけるようになり、私もいつか手に入れたいと思うようになりました。そのときは、それを横目で見ながら、とりあえず、ヤマハの000型のフォークを買いました。これも結構良い音はしてたのですが、ネックが結構太く、指版も広かったので私には弾きにくい感じがしてました。これは、その後友人に貸したままになっており、30年たった今も戻ってきてないばかりか、友人に言わせると「あのギターは俺のだ」という事になっており既に諦めております。(^^;)

22歳の時に就職した折に、餞別にもらったお金で、モーリスのギターを購入したのですが、すぐにいやになり、頻繁に楽器店に通ってマーチンを見に行ってました。そのうち、店員さんがショーケースから出してくれて試し弾きさせてくれるようになり、D−18、D−28、D−35を比較検討するようになりました。

結局D−18は音はいいのですが、見た目が安っぽく見え、友人も「2〜3万のギターと見劣りしないよね(^^;)」などと言うので、D−28にしようと思ったのですが、これも友人が「D−35の方がネックやボディのあんばいがカッコいい。D−28はなんかつまらん」などと言われたので、結局見た目だけでD−35を5年間の月賦で購入したのです。後で、D−28にすれば良かったと後悔したのは、それから数年後にD−35はあまりにフォークっぽい音だとわかった頃でした。(D−28の方が太い音だとわかったのです)

どこかで活動したいなぁ、と思っていたところ会社の組合の歌声サークルからお誘いがかかり、アコーディオンやハーモニカ、ピアニカなどと一緒に労働歌を歌ってました。長野に行ったり、名古屋で合宿をしたり、広島で反核コンサートに参加するなど、結構いろいろなところへいきましたね。「母さんの歌」で有名な窪田聡さんとか、ピアニストの高橋裕治さんなどと一緒にステージに立ったこともあります。この20代の活動では、いろいろな人に出会えて毎日が非常に面白かったですね。

こうして30歳になると、役職がついて仕事が猛烈に忙しくなり、活動から離れてしまいました。D−35を持ちながら、千葉、東京、埼玉と転勤を繰り返し、仕事に追われてギターを弾くのは仕事から帰ってから家で爪弾く程度でしたね。
仕事も結構面白かったのですが、体力的に残業がダメで、いつも6時位には帰ってましたので、皆からひんしゅくを買ってました。また、酒がチョー弱い(ビール一杯で真っ赤)ので、飲み会も苦手でしたね。日本人てなぜこんなに夜中までモーレツに仕事をするんだろうと思ってましたね。定時になったらさっさと会社を出て、もっと自分の時間を過ごしたらええのに、と思ったりして、私は6時になったらさっさと会社を出て、鎌倉での仏教や哲学の勉強会に出たり、東京では異業種交流会の世話をしたりしてましたね。まぁ、そうこうするうちに15年間はあっと言う間に過ぎてしまいました。この頃にはD−35もほとんど押し入れに入ったままになっていたのです。

久しぶりに郷里に戻してもらい、去年押入れからD−35を取り出し、恐る恐るケースを開いてみたら、表面版が膨れ上がってました。チューニングを始めたところ、どうしても2弦と4弦が合わないことがわかり、楽器店に持ち込んだのです。やがて、東京の黒澤楽器店から戻ってきたというので、行ってみたら「ほとんどの部分を入れ替えしなければならないので、リペアーしてもかなりの費用となる」という返事で、新たなギターに買い換えることになったのです。

新たに買ったのは、000−28でした。どうも前からドレッドノートはがたいが大きすぎて弾きにくいと思ってましたので、000にしたのです。思ったとおり、弾きやすいですね。(でも、かなりな出費でした。)

最近はソロギター名曲集などという楽譜本を買って、一人でチョロチョロ練習しているのですが、なんと難しいこと!こんなの、指が届かないと思ってDVDを買って見たところ、難なく弾いているではありませんか!今まで、CとかA、G、E、Dという3フレット分位しか指を伸ばさないですむローポジションのコードしか基本的に弾かなかった私にとってハイコードを多用する曲は難しいです。岡崎倫典さんというギタリストがいますが、なんであんなにスムーズに運指できるのか、摩訶不思議です。アコースティックギターマガジンという雑誌も買ってきて孤軍奮闘付録CDと楽譜を頼りに弾いて見ましたが、一つとしてまともに弾ける曲がないのは寂しいですね。

そうこうして、どうもいろいろ聴いたり、調べて見ると今の若い人はギターが本当にうまいですね。シロートでも本当にプロ並みのテクニックを持っている人が、それも非常に多くなったということがわかってきました。いや、プロ以上にうまい人がごまんといるという話も、とあるセミプロミュージシャンから聞きました。でも、そういう人でもプロにはなれないんですね。逆にテクはなくても何か人を惹きつけるものを持っている人がプロになるんだと。この話を聞いたとき、なるほどミュージシャンの世界というのは、そういうものなんだと妙に感心しました。

すみません、えらく長くなってしまいましたので、この辺で。


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