2004年11月12日
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「D-28CWとの出会い」
 
(MAX/42歳/埼玉)


昨年(2003)年の夏前・・・ 梅雨の頃だった。
楽器屋の街 「御茶ノ水」 を特にあてもなくウィンドウショッピング。
高校時代から弾き始めたアコースティックギターは、見て回るだけでも楽しい

モーリスって今でもやってるのか、キャッツアイは置いてないな・・・。
ヤマハのFG-151は 同級生に譲ってもらって初めて弾いた機種。
ネックが太くて「F」に苦労したなぁ・・・中古で数千円で並んでいた。
何軒か廻った後 そのギターは ある店の壁にかかっていた。

マーチン D-28CW 

マーチン社が様々なミュージシャンの記念モデルを出しているのは何となく知っていた。
「クラレンスホワイトが弾いていたギターをトニーライスが弾いている。」
ブルーグラスギタリストが普通に知っていることくらいしか知らなかった。
そして そんな高価な楽器は「自分のもの」でなく「楽器屋のオブジェ」だと思っていた。

D-28CWは 壁の十数本のうちでどこか気になるギターだった

目を引くべっ甲柄ピックガード
フィンガーボードがはみ出た大口径サウンドホール
小ぶりのペグ 長いブリッジ
ネックの白い縁取り
一言で言うと「珍しい28」だ。

なぜ
「音、出してもいいですか?」
といったか覚えていない

チューニングされて手渡されたD-28CWは
こわごわ 膝に乗った。
こちらが気後れしてるのを察するかのように。

大好きな「双頭の鷲の下に」を弾いてみたと思う
本当はこの後のことはよく覚えていない 
記憶にあるのは 手になじむな とか 弦高が低いかな とか
体全体に響くぞ とか 
そしてただ弾いてて気持ちいい・・・・・
これまでさわったことのある何本かとは違う 「何か」 を
気持ち良さの中に 感じた

「絶対欲しい」という強い感情でなく 
「また弾きに来よう」というような あいまいな<想い>が灯った


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