2005年2月1日
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「グルメなギターの旅」
 
(慈姑屋/47歳/長野)
 


私はあまりテレビを見る方ではないが、旅行番組は好きである。たぶん自分たちは一生行かないような場所も旅した気分に少しだけしてくれる。この手の番組に欠かせないのは、リポーターが現地の料理をおいしくいただくコーナーだ。聞いたこともないような形容詞を駆使して、いかにその料理が美味かを我々に伝えてくれるのだ。このリポーターが若手のお笑い芸人だったりすると、何を食べても黙ってうなずくか、「うめぇ〜!」としか言わない場合がある。あってはならないことである。私たちもこのような場面に直面して困ることがあるのでは無かろうか。

ふと立ち寄った楽器店で何気なく壁にかかったギターを眺めていると、背後から「試奏されますか?」の声。「いや、結構です。」と断るのも聞こえなかったかのように、店員は当該ギターをハンガーからおろして私に手渡す。仕方ないのでGとかのコードをデロロ〜ンと鳴らし、次にハイポジションで単音を二つ三つ弾いてみる。
「どうですか?」と店員が何かを期待するような眼差しで問いかけて来る。しばしの逡巡の後に返した私の答えは・・・「いい音ですね。」
「うめぇ〜!」のお笑い芸人と一緒である。店員はあからさまに落胆の表情を浮かべ、そそくさとギターをハンガーに戻す。後ろも見ずに店を出る私。悲しい限りだ。

先日某ギターメーカーのファンクラブのオフ会に参加する機会があり、さまざまな機種を試奏する機会に恵まれた。他の常連メンバーの方々の口からは「音の輪郭がはっきりしている。」「粒が揃った音だ。」「豊かな倍音だ。」等々絶妙な感想がこぼれ落ちてくる。さすが愛好家、語彙力もさることながら音に対する見方(聴き方か?)がしっかりしている。見習わなければならないな。

昨年より長野でも「応援団」のメンバーが集まり始め、少しずつではあるが活動を始めたところである。(今後ともよろしくお願いいたします!)ライブとかに参加するといろいろな音楽好きな人との交流がある。当然楽器に関する話題も多くなってくるのである。いつまでも「いい音ですね。」では情けない。今まで漠然としか感じていなかった「音」に対する考え方を改める時がきたようだ。

「いい音」ってなんだ?禅問答のようになってしまいそうだが自分なりにその答えを探していきたい。



 
 
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