2005年2月4日
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「ビートルズとビーチボーイズ」
 
(こっし/30歳/神奈川)
 

あまりに有名で、既に語り尽くされた感のある両バンドですが、私が個人的に聴いた限りでの私見を書きたいと思います。

どちらが好きかと言われたら、私はビーチボーイズと答えます。しかし、世間的な人気は圧倒的にビートルズに軍配があがるでしょう。ビーチボーイズには最近になって再評価の流れがあり、ポップスマニアの間では人気が高まっているようですが、それでもなお、当時も今もビートルズにはかないません。

両バンドに共通しているのは、彼ら以前の音楽、今で言うオールディーズに精通していたことです。オールディーズのカバー曲を実に多く録音に残しています。両バンドのカバー曲を比べて顕著なのが、演奏形態や楽器編成の違いです。

ビーチボーイズはオールディーズを洗練された当世風のポップスに焼き直しましたが、基本的な音作りはオリジナルに忠実です。バンドメンバーだけにとどまらず、スタジオミュージシャンも起用して、少人数のバンド形態がポピュラーになる以前の時代の音作りを再現しようとしました。行き着く先はもうオーケストラのような大人数編成です。

一方、ビートルズも同じくオールディーズを当世風に焼き直したのですが、基本的に4人編成のギターバンドで演奏するのが前提でした。だから、ビートルズのカバー曲はオリジナルと聴きくらべて大きなギャップを感じるものが多々あります。

こうして書くと、やっていることはビーチボーイズのほうが偉いような気もしますが、人気が出たのはビートルズでした。ギターバンドゆえ、どの曲も同じ感触で聴きやすいのです。ギターバンドにこだわったのは、一種のシバリと言い換えてもいいかもしれません。

例えば俳句だったら、文字数は5・7・5で季語を含めるシバリ。読む側の人もシバリの存在を知っていて、そのシバリのなかでどんな表現をしてくるのか興味をもって作品を読む。受け手が一度慣れたシバリであれば、次からの作品も受け入れやすいということです。ビートルズはギターバンドシバリだったのです。

ギターって、そういうものだと思ってます。弾く立場からすると、いろいろ制約とか不便な点が多いですよね、それ自体がシバリと言ってもいいくらいに。でも、だからこそ人はギターに熱くなれるのでしょう。これが書きたくて、ビートルズとビーチボーイズの話を持ち出しました。

「ギターは俳句である」

ええと、結論はちょっとぶっとび過ぎだったかもしれません。
解るかなぁ、解んねえだろうなぁ。


 
 
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