〔登場人物〕 |
ワシ: |
カンゾー壊して酒との「さよなら」を決断し、救いを求め昔弾いていたギターにたどり着く。 |
女房: |
フツーの主婦。ワシが酒を止めたので生活が多少楽になると喜んでいる。 |
〔第一幕 去年 5月〕 |
ワシ |
「ワシ ギター買うぞ! マーチンの!」 |
女房 |
「なにそれ?」 |
ワシ |
「昔からほしかったギターや。酒止めたしなんぞ楽しみがなかったら、やっていかれへんがな。」 |
女房 |
「なんぼすんのん。」 |
ワシ |
「30万ぐらいちゃうか。」 |
女房 |
「30万!!」 |
ワシ |
「せやけど、酒代一ヶ月3万として一年で36万や。一年酒止めたらお釣りがくるがな。」 |
女房 |
「ほんなら買うたらええがな。けど、あんたの小遣いでやで。」 |
ワシ |
「そう言わんと、ちょっと貸してくれ。」 |
− 以下 省略 −
いろいろあって女房に前借りし、「Dギター」に直行。夢見心地で一本を選び購入。 |
〔第二幕 去年 10月〕 |
ワシ |
「マーチンのギター。もう一本ほしいな。ええのん出てるんや。」 |
女房 |
「あんた、マーチンとかゆう高いの買うた思たら、ショッチュウ弾くの勿体ないとか言うて、この前別の買うたやないの。腕2本しかないのに何本もいらんやろ!」 |
ワシ |
「ワシは千手観音や。」 |
女房 |
「アホくさ。もうお金貸さへんで。」 |
ワシ |
「退職金の前払いが振り込まれてたやろ。」 |
女房 |
「退職金!! あんた ええ加減にしいや!」 |
ワシ |
「あんなあ、ギターは年数経つと値が上がるのんもあるんや。ワシは30数年ギター弾いとんのや。見立ては間違いないさかい。ワシが死んだら売ったらええがな。いや、家宝になるぞ。「何とか鑑定団」に出してみい。」 |
女房 |
「けど、何で何本もいるん?」 |
ワシ |
「音が違うんや。音が。」 |
− 以下 省略 −
女房の罵声を受けながらも退職金を握り締め、連絡のあった「I楽器」に直行。 |
〔第3幕 もうすぐ〕 |
ワシ |
「もうじき、酒止めて一年になるなあ。」 |
女房 |
「よう止めれたね。」 |
ワシ |
「酒止めて一年の記念に…」 |
− 以下 予測不能 (けど、こうやって増えていくんやろね) − |