「小指が痛む」 |
|
(dachsleonald/50歳/栃木) |
|
仕事を終えて家に帰る。そして、リビングに置いてあるギターに手を伸ばす。夕食の準備ができる1時間足らずの間、ギターを爪弾くのがここ数ケ月の日課だ。リビングに飾ってあるのはお気に入りの2台。ギブソンのダブとオールドのS.ヤイリ。どちらを手にするかはその日の気分によって決めている。ダブが奏でるメイプル独特の甘くてシャリシャリした鳴りはストロークで心地よいし、ヤイリのハカランダも合板とはいえアルペジオでは艶やかで深い味わいがあっていい。ギターを手にするこの時間は、私にとって心が癒される至福のひとときだ。だが、それにしても小指が痛む・・・。
思い起こせば、ギターを始めたのは今から35年前。当時私は高校2年生で、嵐のようだったGSブームもすでに去り、いわゆる四畳半フォークがはやり始めた頃。ギターが弾けた友人に触発され、見様見真似の自己流で始めた訳だが、ギターの虜になってしまうのに時間はかからなかった。夢中になってコードを覚え、フォークシンガー気取りでギターを弾いていた自分がそこにあった。やがて、就職し結婚。仕事や子育てなどに追われ、次第にギターを手にすることも無くなり、ギターもいつのまにか私の手元から姿を消していた。
2004年3月。50歳の区切りの年を迎えた。これまでの自分の人生を振り返り、これからの生き方を自分自身に問い掛けてみた。ここからはご多分に漏れずオヤ応のみなさんと同じお決まりのコースを辿ることになる。5月にさっそくギターを購入。届いた初日は、わずか数十分で左指が痛くなり、弾くのをリタイア。しかし、この痛みを超越してこそギタリストとしての未来(?)があるのは常識中の常識。指先に硬いタコができるまで毎日頑張ろうと意を決する。
しかし、2日目にアクシデントが発生・・・・。バレーボールで左手小指の第1関節を骨折してしまった。いい年してバレーなんかするモンじゃない。左小指といえばギタリストにとって命のようなもの。せっかくギターを買って、また一から始めようとした矢先なのに・・・・。でも、骨折したからといってここで止める訳にはいかない。骨折した指をテーピングで固定し、骨折の痛みにも耐えながらギターを弾き続けた。それが原因で左小指は曲がったまま骨がついてしまった。今でも長時間ギターを弾くと、左小指がズキズキ痛み出す。そんな訳で一向に技術が上達しない理由を年齢とこの小指のせいにしている。今日もまた、痛み出す小指を騙しだましギターを弾く。
|
|
|
|