「ぼちぼちいこう」
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(ヤスベイ/1960年生/北海道) |
8年ぐらい前のある日。
「父さん。このギター使う?持って行ってもいい?」と息子の声。
ケースの中から出てきたのは傷だらけのギター。L8。20年位は経ったのか。納戸の隅から覚めさせたのは、初めてギターを手にした頃の自分と同世代になっていた息子だった。
私が、初めてギターに触れたのは、中学の音楽室にあった教材のクラシックギター。巷は、70'Sフォークブーム真っただ中。近所のレコード店にも、ド田舎にも拘らず、天井から何台ものギターが普通にぶら下がってた。かぐや姫の全盛期。コンサートにも行った。やる事は、当然コピーバンド。おだてに弱く、ハマリやすい私の傍らには、ギターじゃなく、何故かウッドベースだったが…。
洋楽や、艶やかな電気系に変わって行った友もかなりいた高校時代。地味なフォークから抜け出せないままでいた私は、友人のギターを弾き衝撃を受けた。飾りのない普通のギター。おっ…すごい!飴色に焼けたトップ。音叉マークが目に焼きついた。
バイトに明け暮れた夏休みも終わり頃、全財産を握りしめギター屋へ。
田舎に在庫など当然あるはずもなく、店の薦めもあってL8を取寄せで購入をする。数日後、待ちに待ったギター。トップは真っ白。バックの木目もなかなか美しい。飴色のFGと真っ白のL8。早速、弾き比べてみるが、あれぇ?…鳴んない。なまら…ショック。悔し紛れ(?)にかき鳴らしてたギターも、高校生活の終りと一緒に納戸の隅にしまい込んだ。
大学から社会に出て、そして家庭も出来た。その頃、音楽と言えばカラオケで歌うくらい。時も流れ、子供達にも手が掛からなくなり、多少ながら余裕もできた。多忙な日々の生活の中では、ギターが家にある事すら忘れかけていた。息子が納戸の隅のギターを見つけたは、そんな時だった。
気持ちよく寝ていたオヤジを起こすと始末におえない。子供と違いタチが悪い。以来、ネットでアコギ関連の情報を得ながら、気付くと数本のアコギを所有していた。自分から弾く時間を作るようになり、帰宅も早くなった。タバコも止めた。すこぶる健全な趣味だ。と思っていたが、周囲の見方は違ったようだ。特に上さんは…。
「戦うオヤジの応援団」の存在も知ってはいた。イベントや活動等々、羨ましくも思いながら…。「魅力あるギター好きオヤジとして生きるために、思い切って…」トップページの1節。だが、一歩がなかなか出ない。
何事も「きっかけ」だ。それと「頑張らない、無理をしない」事に決めた。少し気楽になった。相変わらずギターは下手だが、何とか人前で歌う自信も少し付いてきた。今回の入団を機に、知人の店の片隅で、楽しみながら弾き語りをさせて頂いている。
あくまでも趣味の域で…。
迷惑にならないよう、ほどほどに…。ぼちぼちと…。
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