2009年1月26日
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「レット・イット・ビー」
 
(nissing15/1964年生/奈良)


私にとって音楽とは、なんですか?
いや、その前に、世間とは何でしょうか?

私は世間というものは、いろんなかたちで、人間をいじめる場所だと考えます。
世間において、あなたはあなたらしく生きる事は出来ません。

仮にあなたが怠け者であれば、世間はあなたに勤勉な人間になれと命じます。
これはいじめです。
そして、仮にあなたが勤勉な人間であっても、世間はあなたにもっともっと勤勉であれと命じます。あるいは、優しい人であれと命じるかもしれません。

ともかく世間はいつでも、あなたに別な人間になるように強制します。これがいじめです。その意味では、世間は本質的に地獄です。生きるのにとてもつらい場所です。

しかし私たちは、世間が地獄であることをはじめからあきらめています。もともと地獄なのだから、つらくても仕方がないと諦観しているのです。

そして地獄に生きるつらさを、音楽を楽しみ、ほっと一息つきます。
音楽は地獄の中にあるオアシスです。

なぜ音楽がオアシスになるのか? それは、音楽は、私たちみんなが、あるがままの人間として自分自身を表現できる手段だからです。
音楽をやる仲間はみんな互いに、あなたはあなたでいいと認め合っています。

ちなみにクラシックを本人の意思と関係なく、無理に習いに行かされている子供さんがいますが、あれは音楽ではありません。厳密には音楽に達していないということかもしれません。音楽は音を楽しむと書きます。楽しまないと音楽にはなりません。

だとすれば私たちは、私たち仲間どおしが、「あなたはあるがままであっていいよ」と互いに認め合い、音を楽しむ事が大事なのだと思います。

つまりレット・イット・ビー!




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