2009年7月13日
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「歌と私」
 
(せつこ/19--年生/東京)


 子供の頃から、歌は歌うより聞くものでした。 美しい母の歌声を聞いているだけで満足。 私はレコードに合わせて小さく鼻歌を歌うだけで十分。 そんな私が 数年前よりピアノの弾き語りでオリジナル曲を歌うようになったきっかけは、その大切な母の死でした。 最後の入院中に「元気になったら、ボイストレーニングを受けてみたいわ。」と話した母の言葉が心に残り、その言葉に導かれるように、母の死後地元のゴスペル・クラスに参加。 その先生のご指導が心に響き、ボイストレーニングを受けるようになりました。 いつまでも母離れの出来ない情けない娘のために、母が最後にプレゼントしてくれたのが、歌との出会いだったように思います。 

 ボイストレーニングでは、技術指導は当然ですが、それ以上に「あなたは、何を表現したいのですか? あなたは、何を歌いたいのですか?」と言う事を厳しく問われます。 母に導かれて…としか言いようのない理由で歌を始め、また仕事をやめて家庭に入ってからは、家族が生活の中心にあり、自分について考えることを忘れていましたので、改めて自分自身を見つめ直す日々となりました。 大好きな仕事を諦めて、名刺入れの名刺を全部ゴミ箱に投げ捨てた日のことを時々思い出しますが、今ふと気付くと、この三年間少しずつ作って来た私のささやかな「歌」が、今の私の名刺代わりのようにも思えます。

 地元のライブハウスで、「歌」を通して「戦うオヤジの応援団」とのご縁が出来、ピアノの弾き語りという異ジャンルながら仲間に入れていただきました。 ライブで皆さんの人生や音楽にかける想いに触れるにつれ、私の生活の彩りも豊かになり、「歌は 聞くもの、歌うもの、生み出すもの、心と心を触れ合わすもの」になりました。 音楽・歌のビギナーですが、これからも皆さんとご一緒に 歌と人生を楽しんで行けたら、それが一番母の心に沿った私の生き方になるのでは…と思います。 これからもどうぞ仲良くお付き合い下さいますよう、宜しくお願いいたします。 




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