「ヤングギターと私」
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(hero/1957年生/熊本) |
ここに一冊の古いヤングギターがある。1974年7月号であり表紙にはかぐや姫の写真が掲載されている。かぐや姫が解散する約一年くらい前の全盛期の一葉である。
頁をめくると初めにエンケン(遠藤賢司さん)のライブの写真が一枚あります。長髪にテンガロンハットをかぶりD−35を抱えて歌っている当時おなじみの姿であるが、ただこの時だけは右目に白い眼帯をしている貴重な写真である。この眼帯を何故していたかは数十年後になぎら健壱さんの著書の「日本フォーク私的大全」にて知ることになり、不思議なご縁を感じている。
それから頁をめくっていくとやはりライブの写真が多くあり高田渡さん、西岡恭蔵さん、大塚まさじさん、吉田美奈子さん、中山ラビさん、中川五郎さん、斉藤哲夫さん、シバさんなどとても懐かしい写真がカラーやモノクロで掲載されている。
特集は
@五つの赤い風船よみがえる<西岡たかしにインタビュー>
A斉藤哲夫、いま、むかし、およびニューアルバムの周辺インタビュー
Bオリジナル・ディラン「春一番」直前のインタビュー
C全曲集 ガロ 新アルバム「サーカス」
あとはギター講座や国産ギター・チェック <Kカントリー F−18>などなどとなっている。
ヤングギターは当時は発刊後2年くらいの若いギター雑誌でありアコギやアコギを弾くフォークやニューミュージックのアーチストの特集を主に掲載していて若者に人気の雑誌であった。
※正確には忘れましたが数年後にはエレキ主体の現在のような雑誌に生まれ変わったように 記憶しております。
このヤングギターはちょうど私が17歳でギターを始めたころに、友人から頂いたものでありそれだけに思い入れがあり、それゆえに現在まで手放さずにずっと持っていたものである。
ヤングギターはそれ以来、たぶん毎月のように購入したように思うが、私の興味は掲載されている楽譜やアーチストの記事ではなく、各ギターメーカーの宣伝や時々マーチンやギブソンなどのアコギ特集であった。それらを穴の開くほど見たり、読んだりして妄想を膨らませることであった。
ときどき股間も膨らませてはいたが(爆)
何せ当時はバイトで貯めた全財産でヤマハのFG−130(当時1万6千円)を買ったばかりで、国産・舶来品を問わず高級ギターが欲しくて欲しくて毎日そのことばかりを考えている青年(少年?)でした。今考えるとストーカー並の執念でギターの写真や記事を見つめていたような気がいたします。
ヤングギターの特集で当時一番気に入っていたのが、マックおじさんこと保田誠氏がビンテージマーチンの特集やビンテージマーチンに関してのエピソードなどの記事が時々掲載されることでした。オールドマーチンやオールドギブソンなどは、当時私の住んでいた田舎では絶対に見ることの出来ないギターであり、その存在自体を知ることができたのもその記事のお陰でした。
当時の音楽情報源はもっぱら音楽雑誌だったように記憶しております。田舎ではライブはあまりなかったし、TVでもミュージック・フェアーでときどきフォークのアーチストを運良く見れたりする程度だった。余談になるが、かぐや姫が22才の別れを演奏するのを初めてTVで見たときにスリーフィンガーのフレーズをピックで弾いておられたのには衝撃が走りました。スリーフィンガーは3本の指で弾くものであり、ピックで弾くなどとは想像もつかなかったのであります。
そんな訳でヤングギターは私にとっては数ある音楽雑誌の中でも飛びぬけて好きな雑誌でありました。恐らく50〜60冊ほどは買ったとはおもいますが、その殆どは友人に上げたり廃品として出したりしましたので手元に残っているのは5冊ほどです。
今振り返って考えるとヤングギターは私にとっては憧れのギターや憧れのアーチストのことをを教えてくださった師匠のような存在です。アコギを主体とした音楽雑誌は他にもギターライフ、GUTS、新譜ジャーナルなど色々とあってそれらも買っておりましたが「ヤングギター」は私にとっては特別な存在だと思っております。
あれから35年も経ってしまいましたがあの頃の「ヤングギター」ありがとう!今でも感謝しています。
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