2010年1月4日
<エッセイ一覧へ>

「異国で歌ったHey Jude」
 
(yatsushi/1964年生/神奈川)


僕とギターとの出会いは、1977年。母の友人が持ってきたフォークギターでした。歌はうまくありませんでしたが、ずっとギターは歌の付属品でした。

高校生の頃からバンドを始め、ビートルズなどを演奏していました。したがって当時はエレクトリックギター。良いアコースティックギターを使うなどとは、ぜんぜん思いもつきませんでした。ずっとTakamineの合板ギターを使っていました。

歳月は流れ、縁があって、インド北部の山間の町ダラムサラという場所で、2年ほど、暮らすことになりました。そこはチベット亡命政府のあるチベット人の町。ダライ・ラマが住んでいて、世界各国から人々が集まってきます。山の上にある小さなニューヨークみたいなところでした。

ある日、友人に高台にあるカフェに連れて行かれました。その日は演奏会があって、さまざまな人々が順番に楽器を演奏し、歌います。僕もギターを手渡され、「何かやって」と言われました。人前(しかも欧米人!)でギターを持って歌うなんて、久しぶりのことで、手が震えました。でもはじけてしまえ!ということでビートルズの「Hey Jude」を歌いました。みんな一緒に歌ってくれて、すごくうれしかったです。

それ以来、ギター熱が出てきました。でもドレッドノート、000、OM…なんのことだかわかりません。ハカランダって何?みたいな感じ。でもギターのことを学んでいくのは楽しかったです。最初はマーティンが欲しいと思い、お手ごろ価格で中古の000-28を購入しました。小さめのボディなのに、やっぱりそれまで使っていた合板ギターと比べると、重厚で音も響きます。新鮮な感動でした。

ダラムサラに行ってからも、いろいろと心の旅は続きます。その中で000-28は、苦しいときはじっとそばで見守ってくれていて、うれしいときは一緒に遊んでくれました。ギターがそばにあったこと、とても感謝しています。

今は、D-18GEを主に使っていますが、思い描いていることは…いつまでも子供のように無邪気に音楽を学んでいきたい。ギターを弾いていきたい、ということです。
心身を育てるための楽しいツール、それがギターであればいいな、と思っています。




エッセイ一覧へ→
トップページに戻る→