「心の琴線/指先にはスチール絃」
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(るびん/1956年生/東京) |
この世で私がギターというものを手にしたのは中学1年生のとき、5つ違いの兄に無理やり教え込まれたのがはじまりでした。
本当に、無理やり、ひとの迷惑顧みず…。
兄はギターを弾くことが楽しいから弟にも教えてやろうなどと、そんな殊勝な兄弟愛に燃えて教えてくれたわけではなく、当時通っていたギター教室で習ったクラシックの曲について、レッスンが進むと以前やった曲を忘れてしまう、それで弟に無理やり同じ曲を叩き込んで、自分が先々忘れたときに聞き出そうという魂胆で私に教え込んだというのが真相。
ウクレレの4本絃でさえ弾きこなせないものをさらに2本も絃が増え、当時の私は文句をつけたくても兄の腕力には勝てず、渋々従ったものでした。
それが中学2年の時、衝撃的な出会いがジミ・ヘンドリックスの「紫のけむり」。
サイケデリックという言葉がまだ真新しい時代のことで、それまでクラシックやカレッジフォークなど耳障りのよい音楽に馴染んでいた私は思わず度肝を抜かれてしまいました。 ステレオの向こうで一体何がはじまったのという、いても立ってもいられない興奮状態に押し込められたのです。
もっと驚きはそのレコードを持ってきた兄の友人が、曲が終わったと同時に目の前で、兄のガットギターを借りてまったく同じように、いま聴いたばかりの「紫のけむり」を弾きはじめたのです。
その瞬間、ギターって実はこんなに制約がなく、楽しく弾けるものなのだ、弾いてもいいものなのだと、身体の中で鳴り響くものが走ってしまいました。
兄よ、その日からあなたの思惑は見事に外れ、あなた自身がギターに飽きて自分のギターにほこりが積み重なる頃、弟はロックを下地にフォークの世界へと突き進み、テクニックを積み重ねていくのでした。
・・・て、現実はそんなに簡単にはいってませんけどね(笑)
実際のフォークとの出会い、音楽への本当のめり込みの話などは、機会がありましたらまたいつか。
ご清聴ありがとうございました(^^)
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