「2本のMartin」 |
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(myao/1963年生/山口) |
同僚の事故の報告を受けた福岡市営地下鉄。
その時そばにいたのが、2本のMartin。
4月29日は、色々な意味で忘れられない1日でした。
喜びや驚き、悲しみから怒り、そして虚無感…。
様々な感情が体をすり抜けた1日でした。
その日、友人と福岡で開催中のエジプト展を見に行った。
エジプト展自体は、比較的新しい展示物が中心で
エジプト通の僕らには、少しばかり物足りなかったけど、
像の後姿を見せるなど、展示に工夫があって、なかなかいい展示会だった。
その後、特に予定もなかったので、
天神IMSの島村楽器に行き、友人とギターを試奏する。
下手っぴでも、ギターを触るのは楽しいもんね。
以前からGibsonが1本欲しかった僕は
Gibsonのカスタムがアルペジオでもよく鳴るのに感動していると、
近くで友人がMartin D28を抱えて真剣に悩んでいた。
ちょうどMartinのセール中でお手頃価格だった。
かなり悩んで、ついに購入。
友人が手続きをしている間に、
ふと手に取ったMartin OOO-28ECを試奏。一目惚れする。
高音の感じが僕の感覚にぴったりで、
広めのネックも僕には違和感なくては弾きやすい。
ただ、友人が買ったから買うって感じが…(笑)。
悩んだけど、
店長がさらに値引きをしてくれるし、
結局、友人の衝動買いに後押しされ、購入。
帰りには2人がギターケースを抱えてた。
かなり派手なペアだよね(笑)。
服装もそんな感じだったから、
これから路上ライブに出掛ける雰囲気だった。
島村楽器に長くいたし、
やっぱり早く帰って、弾きたいので、
そのままクルマのある福岡空港行きの地下鉄で移動。
乗客も振り向くくらいだから
ギターケース抱えた2人はかなり目立ってたみたい。
ちょうど福岡空港駅に到着した時に事故の連絡が携帯にあった。
思わず出た「マジか!」の声。
まわりの乗客が一斉に振り向く景色が、歪んでいく感じ。
きっと顔色も悪かっただろうと思う。
帰りのクルマでは無言。
無言でも分かる関係の友人だけに、何を考えているか分かる。
別れ際に「忘れられない一日になったね」と一言。
確かに…。
同じ日にやってきた2本のMartin。
結婚して、しばらく預かる事になった彼女のと並んでいます。
どちらのMartinも旅立った彼みたいに明るい音がする。 |
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