2013年2月11日
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「歌とはなんだろう」
 
(カツくん/1958年生/静岡)


 自分が初めてフォークに出会ったのは小学生の時。「若者たち」という歌がいいなと思い、親と一緒にレコード屋に初めてレコードを買いに行った。買ったのは確か「フォークソング大全集」というタイトルだったかと思う。実はその時手に取っていたのは、別のアルバムだったのだが、親に「これにしなさい」と言われて、「まあいいや」的な感じで買って帰った。ところがこれが大当たりであった。「白いブランコ」「夕日が沈む」「星に祈りを」「海は恋してる」―今でも大好きな曲がいろいろ入っていた当たりアルバムだったのだ。吉田拓郎さんが世に出るよりはるか昔のことである。そして何と自分でギターを弾き、歌うことを薦めているではないか。それまで、「音楽とは−専門の音楽家が美しいメロディを奏で、それを聞く」ーことだと思っていたのが、素人が楽器を持って演奏してもいいらしい、そして少しくらい間違っても、メロディが外れてもいいじゃないか。それも味だよ。さあ、みんなギターを囲んで楽しく歌おう。―そんな音楽があるのを初めて知った。新鮮な驚きだった。元々沼津や三島などの街よりも父母の実家があるのんびりした田舎の方が好きだった僕にはピッタリの音楽だった。

 「フォークソング大全集」はずっと長いこと愛盤であった。そしてそのうち、ギターが僕の部屋にあるようになった。どうも僕はきっちりしているのが嫌いで、休みの日はトレーナーとトレパンが定番である。そのうちに、吉田拓郎さんが出てきてフォークが大ブームになった。かぐや姫が更に火を付けた。その1970年代はフォークが8割、その他の音楽が2割という時期だった。みんな手に手にギターを持ち、弾き語りーに憧れた。しかーし、「えっ?」できません。Fコードで挫折したというのは言い訳で、結局輪の中心で演奏できたのはクラスで1人か2人だけだった。ハーモニカや立て笛などメロディ単音を出せばOKな楽器はともかく、本格的な楽器をひくのはとても難しいことだとみんな初めて悟った。メロディ単音だけ出してもとても寂しく、弾いいている方も聞いている方もつまらない、とても聞いていられない。

 そんな時、別冊「ヤングフォーク」という雑誌が出た。そこには「タブ譜」という斬新な楽譜?が載っていて、五線譜ならぬ六線譜(ギターの6弦)だった。それぞれの線の上に番号が順に書いてあり、順番にどの弦の何フレットを押さえればいいのかよくわかった。この本のおかげで各コード、アルペジオや3フィンガーなどの奏法を憶えることができた。そこから僕の「ギターと共に」のフォーク歌い人生が始まった。




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