2013年7月12日
<エッセイ一覧へ>

「人前演奏―その先にあるもの」
 
(OH/1956年生/青森)


前回のエッセイ依頼が来てからすでに8年が過ぎました。早いものです。
20年以上勤めた会社が廃業となり(事実上は倒産)途方に暮れていた頃に、この応援団のサイトに登録する決心をしたのがつい先日のようです。
その後派遣会社のスタッフ、いわゆる非正規社員として3回ほどの転職を繰り返し、現在に至っています。3か月ごとに雇用の見直しとなる不安定な身分は変わらないですが、今のご時世もっともっと大変な境遇の方がいらっしゃるでしょうから、ギターが弾ける環境にあるだけ幸せ者だと思っています。

さて前回のリレーエッセイのタイトルは「目指せ!人前演奏!」でした。
何を思ってわざわざ人前に出て演奏する事を自分は選んでしまったのか?
しかもアコギのソロギター(フィンガーピッキング)などと言う、人に知られていない分野を…ボロボロに恥をかくたび「家で一人で楽しく弾いてればいいじゃないか」と何度思ったことでしょう。

******************************************************

練習でいくら上手に弾けても人前で弾けなければ
「ギターが弾ける」と人には言えません。
人前で演奏できて初めて「ギターが弾ける」と人に言えるのです。
ソロ演奏のプレッシャーは尋常ではありません。
音をハズせばすぐにバレてしまいます。
プレッシャーに勝つには数をこなして慣れるしかないのです。
演奏の優劣を競う場ではなく、練習成果の100%を人前で発揮できるようにする修業の場です。

******************************************************

と言う沖縄アコースティック・ソロ・ギターさんの設立趣旨にはとても頷けるものがありました。

失業してからというもの、会社を通じての付き合いのあった人とは疎遠となってしまい、中には挨拶すらしてもらえない事もあったりして、自分を見失い自信も無くなっていたのですが、音楽で繋がった人たちは皆暖かく接してくれました。

「よし!またギターを弾こう!」「やるからには人前演奏を目指すぞ!」

そう決心するまでにはあまり時間がかかりませんでした。
少しずつでも、自分らしさを取り戻せて尚且つ自分を認めてもらえる、人と繋がっていける手段が「人前演奏」だったように感じます。

現在も上達の進歩はあまりないですが、「ちょっとギター演奏してもらえない?」と頼まれればマイナス6度の雪の舞う野外でも、30度越えの蒸し風呂のようなストリートでも時間の許す限りは参加しています。

応援団のメンバーの皆さんも多かれ少なかれ何かと戦い、誰かと繋がり、音楽やギターだけに限らないスピリットを感じて日々過ごされているかと思います。皆様のご活躍と応援団の発展を願って二回目のエッセイを終わりたいと思います。
 
前回のエッセイへ⇒




エッセイ一覧へ→
トップページに戻る→