2020年1月5日
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「終活と音活」
 
(J/1959年生/東京)


中学生時代、桜田淳子命だったぼくに、転機が訪れました。
所属していた科学部で、毎日N.S.Pの曲がカセットで再生されたのです。さすがに、1か月も経つ頃には、ほとんどの曲を歌えるようになってしまい、家にあったガットギターで弾き語りまで行うようになっていました。
当時ぼくは、姉のギターと姉が買ってくる明星の付録の歌本で、当時の流行歌はなんでも弾きながら歌っていたため、大概のコードは弾けるようになっており、N.S.Pができるようになるまでにさして時間はかかりませんでした。

高校に入り、ぼくは天文部に所属していましたが、単にギターが弾けるという理由で、合唱部の伴奏担当に駆り出されていました。「五木の子守歌」や、「翼をください」などの演奏をしつつ、それでも演奏するのはニューミュージックばかりでした。
当時の天文部は、部室ではYESばかりがかかっていました。さすがに毎日聞いていると、YESも覚えてしまいます。ちょうどそのころ、ラジオで、Rick Wakemanの「アーサー王の円卓の騎士」の宣伝が頻繁にかかっていて、卒業するころには、すっかりプログレの人になっていました。最も敬愛するプレーヤーがChris Squireなのは、このころの影響と思います。

ところが大学では、軟派な大学を選んだため、AORや杉山清貴、Casiopea、WeSingなどの耳心地がよく、女の子を隣に乗せて車で走るような曲ばかりを選んで聞いていました。
他の大学の軽い仲間内でダンパを主宰するサークルを作り、ディスコパーティやスキーツアーなどに明け暮れていた時、行けなくなったコンサートに代わりに行ってくれないかと頼まれました。同行する女の子はロックにうるさく、ほかの仲間内はロックに関する知識が皆無でした。このコンサートは、武道館で行われたMichael Shanker Groupで、初めて派手なドラムソロを見ました。

数日後、楽器フェアのヤマハブースで、バスドラの真正面でCozy Powellのデモ演奏を聞きました。その風圧のものすごさと、数日前に聞いたばかりのドラムソロの本人と知り、また同行した女の子が結構かわいかったこともあり、ハードロックを聞く頻度が高くなっていきました。ゼミにハードロック好きな友人がいて、新譜がでると聞かされたのも役立ちました。

卒業間近に、大学の友人やその妹たちとバンドを組むことになり、主にハードロックの曲を演奏しました。ギタリストがすでに決まっていたのでベースを弾き、以後バンドではずっとベースを弾いています。相変わらず弾き語りでアコギは弾いていますが。

卒業後も相変わらず軟派だったので、普段はAORやFusionばかり聞いていましたが、数年後、卒業ライブで演奏した、 I Surrenderを歌った歌手(Joe Lynn Turner)が、クラシック系の技巧派ギタリスト(Yingwei Malmsteen)と一緒にコンサートをするという記事を新聞で読み、見に行きました。これはショックでした。こんな曲ができるのなら、バンドをやりたい、と思いました。Purpleファミリーを中心に、ハードロックを手あたり次第聴きはじめて出会ったのが、前の年に発売されたばかりのWhitesnakeの「白蛇の紋章」です。これもショックでした。

そして、Whitesnakeのカバーがやりたくて、Playerという雑誌でメンバー募集をしてバンドを組みました。実はこのバンドは数度のメンバー交代を経つつ、まだ活動しています。
また、たまたま、参加していたパソコン通信の音楽系会議室でセッションが開かれることになり、参加しました。結局、その後パソコン通信仲間とRainbowのカバーバンドを組み、この時のメンバーとはまだ交流があります。

バンド活動は、年に1回ライブをする程度の活動をずっと続けてきましたが、一昨年、会社にアイドル志望の子が事務職として入社してきました。昼の仕事は普通にこなしながら、仕事の後でピアノやボーカルのレッスンに行き、資格の勉強や通信制の大学の勉強をし、さらにオーディションに参加する様子を見て、なにか掻き立てられるような気がして、昨年から本格的にバンドやライブ活動を始めました。ちなみにスタッフの子は、昨年3人組のガールズグループのメンバーとしてデビューし、毎週末ライブや、平日の夜も打ち合わせやグループのレッスンで忙しそうにしています。もちろん、仕事も、自分のレッスンも、そして資格試験や通信制の大学の勉強も続けています。ぼくの活動が折れないのは、この子の頑張りを間近でみている、という面が大きいと思います。

総括すると、節目になったアーティストは、N.S.P、YES、Yingwei Malmsteen、Whitesnakeということになり、更に20歳そこそこの女の子の頑張る姿にインスパイアされていると言えるでしょうか。
なんか、終活の自分史みたいになってしまいました。

いま、ぼくは4つのバンドに参加しています。
・フルート、ギター、カホンのアコースティックトリオ
 ※GibsonのJ-45もしくはMartinの000C Nylonを使っています。
 ※ZOOMのAC-2というプリアンプを使っています。
・フルート、ベース、ドラムスのスリーピースロックバンド
 ※Shecterの8弦ベースを使っています。
 ※EDENのプリアンプとSansAmpを使っています。
・Led Zeppelinのカバーバンド
 ※Fenderのprecisionベースを使っています。
 ※EDENのプリアンプを使っています。
・Whitesnakeのカバーバンド
 ※Warwickの5弦ベース、Ibanezの5弦フレットレスベースを使っています。
 ※WarwickではSansAmpを使っています。
 ※Ibanezでは、ChorusとEDENのプリアンプを使っています。

結局、毎月いずれかのバンドでライブをやっています。機会がありましたら、ぜひご覧いただき、一緒に飲みかわしましょう。
 



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