2004年6月9日
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「Sportin' Right Hand」
 
(清水/40歳/千葉)
 
中学時代にギターを始めたものの、年齢を重ねて就職や結婚・転職等でパッタリと弾かなくなってしまうという実によくありがちなパターンの私は、そこそこ仕事もプライベートもちょこっと余裕が出始める30代半ばにして(これまたありがち)めでたくギター再開となりました。

さて再開してみたものの、すぐにつまらなくなってしまいました。なにせもともと弾き語り程度しかできなかった為、ギターを始めた中学生時代程度に弾けるようになるには時間がかからず、あっという間に行き詰まり。

「何にせよ、もう少しギター上達しないとなぁ」と漠然と考えていた私は、たまたまインターネットでTABギタースクールを見つけ、そこで色々なジャンルの教則本やビデオを売っている事を知りました。

何とはなしに「カントリーブルースってカッコ良さそう」と(聴いたことも無いのに)買ったビデオがブラインド・ブレイクの教則ビデオ。レクチャーはウッディ・マンです。

いや〜衝撃的でしたね。それまでギターと言えばコード弾きかリードかしか思い浮かばなかった自分にとって(クラシックは別ね)、ウッディ・マンが奏でるブラインド・ブレイクのラグタイム・ブルースの楽曲の数々はとんでもないインパクトでした。早速本家のCDも買えるだけ買い集め、連日連夜ブラインド・ブレイクしか聞いていませんでした。

ご存知の方も多いと思いますが、ブラインド・ブレイクの曲はコードフォームは簡単なんですが、右手(特に親指!)の使い方が凄い上に、似たような曲でも随所に細やかな変幻自在のフレーズを交え、ブルースの範疇を超えた素晴らしい音楽です。演奏能力もさることながら、きっと相当な英才教育を受けた人なのでしょうね。1930年代に活躍した人なのに、なんとオッサレーな楽曲でしょう。

ブラインド・ブレイクの得意な「Stumblin' Bass(Drag-thumb technique等とも呼ばれますね)」は、言ってしまえば親指のアポヤンドとシンコペーションの組み合わせなんですが、これがまた難しいのよ。

ギター再開して早5年。ずーーーーーっと練習してますがいまだにStumblin' Bassの『スタ』くらいまでしか弾けません。もしかしたら『ス』までかも・・・

これほど迄に難易度が高くエキサイティングな演奏なのに、このテクニックたるやギター弾けない人にはまったくもって大変さが理解して頂けません。

ブレイクの曲は前述のように、コードが簡単な場合が多いので、ぱっと聴いた瞬間に難しい曲には聞こえないらしい。うちの嫁にブレイクを聞かせたら「みんな同じに聞こえる!」と言われた時はチョト悲しかったねぇ。

ギター弾ける人でさえ、このテの音楽に興味の無い人にはあまり注目されなかったりして。ちょっと好きな人なら目の色変えるテーマなんだけどね〜。

ま、他人の意見はどうであれ、それが趣味の醍醐味(なのだろうか)。死ぬまでに『スタンブリ』くらいまでは上達したいものです。

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