2004年6月8日
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「我輩はぎたーである」
 
(まさひろ/51歳/東京)
 
我輩はぎたーである。名前は・・・・・ボディにNAGOYAと焼印がある。
ここに連れてこられたのはかれこれ40年前。ご主人様は中学校に通う美少年、我輩も殆ど生まれたてで傷も無い美しい外観を誇っておった。
それが今はご主人様は見る影もなく太っちょで、我輩ときたらガリガリの傷だらけ。特に臍横は身厚を半分にされるほど削り採られてしまって剥げ状態である。

当時、我家には我輩と確か大型ボディの"森寸"とやらが飼われていたが、そ奴はいつの間にか消えた。どうも拉致されたらしく未だ行方が判らないようだ。
今、我家(正確にはご主人様の邸宅であるが)には、おそらく4ぎたーの同居人がおるようだ。"おるようだ"というのは、どうもどこかに囲われている同輩がいる気がする。時折見かけぬ奴が朝になると隣に鎮座しておる。どうも我輩以外の同輩は時折外遊するようだ。我輩はこの外遊に抜擢されない。ほとんど新参者が抜擢される。ン〜ン?何故だぁ?

最初の新参者は8年程前に突然現れ、その後徐々に増えていった。そういうことを『病に陥る』というらしい。身を滅ぼした輩もいると聞く。
それまでの長い間、おそらく15年程は我輩も専用小屋に閉じ込められて、年に数回じゃらじゃらと撫ぜられただけの記憶がある。それ以前はご主人様の背に乗って南の島を放浪したり、船の甲板で日向ぼっこしたり、また時には若い女子高生の前で名音を奏でたりもした(ニヤニヤ)楽しい想い出が一杯ある。
この新参者は、街で"にっぱち"と称するデカボディだ。召抱えが決まった時に我輩はドック入りさせていただいた。あちこち反りやねじれが沢山有ったのだろう、どこをどう触られたのか判らないがそれ以来至極調子が良い。感謝しておる。

このところ夜な夜な同輩と交わされるモッパラの話題は『ご主人様があの世に旅立たれる時、誰を連れて行くのだろう?』ということである。我輩はご主人様がご幼少の頃から仕えているので『我輩である!』と、確信しておるのだが・・・・・皆、自分が一番可愛がられていると思っているようじゃ。幸せな事よ。

追伸:実は最近、ご主人様のお供でこの世を去るのは少々惜しいような気がしておる。優れたぎたーにはオールドの称号で幸せな余生を送れると聞いたから。(ナイショ)

 
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