2004年9月28日
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「アコーステックに こだわる、が...」
 
(yoshida/50歳/愛知)


アコーステックギターに限らずなんですが、トラデショナルな楽器は その形状、材質を含めて音色が形作られていると考えられます。

ギターは主に振動しているのは表板なのですが、これは弦の振動がサドルブリッジを通して伝わっていると同時にネックからもナット、フレットを通して伝わっています。また力木も振動の伝達速度の木目方向の違いを補正していると考えられます。

ですから表板の振動は複雑で、空気を振動させる際にはギター内部で共鳴、共振した空気振動を含め色々な空気振動が 空間で合成されて聞こえてくるわけです。

ここでライブを行う際を考えてみましょう。極少人数が対象の場合や音響特性が音楽的に優れた場所では生でも可能だと思いますが 音楽の特質上拡声装置の使用は必須になっています。

しかしマイクの使用の難しさからか、アコーステックギターのピックアップの使用頻度が増えてきていますが、各ピックアップの欠点を皆さん知っていて使っているのでしょうか。

ピエゾピックアップ…周波数特性上 帯域が狭い、山谷が存在する、インピーダンスが高い。(インピーダンスが高いとノイズを拾いやすくなったり等、弊害が多くなります)
マグネチックピックアップ…マグネットにコイルを巻いた構造上、高域特性が悪い(倍音を拾いにくい) 出力を大きくしようとコイルを沢山巻くとインピーダンスが高くなるし高域特性も悪くなる。
超小型マイクロホン…ハウリングに弱い。目的以外の音も拾ってしまう。低音の量感が乏しい。

また、それぞれピックアップするポイントにより音色は違ってきますし、空気を通さない1カ所のピックアップではとてもアコーステックギターの音色とは言えないでしょう。

近年デジタル技術の進歩でシュミレーション技術が進歩してきましたが、実際の楽器の振動をシュミレーションしようとすると、膨大な演算が必要ですので未だといったところです。またピックアップの周波数特性の悪さはイコライザーで補正しようとすると位相がずれて益々人の耳には心地よい音とは言えなくなります。

まぁピックアップで拾ったアコーステックギターの音色を アコーステックギターとは別の楽器と とらえて別の演奏表現を求めるのも一つの考えだとは思いますが.......

ですから私はアコーステックギターの音色を生かすには 今のところ最も難しいとはいえ、スタンドに立てたマイクロホンで拡声するのが一番だと考えますが、それを実現するには正しい知識と機材の使いこなし(演奏者、音響技術者を含め)が必要ですね。


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