2004年11月2日
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「吉田町の唄」
 
(ゆうさん/52歳/愛知)



それはわかっていたことであるが、やってきた。
家族の見守る中、息子は逝った。
もういいよ、苦しまなくてもいいよとつい言ってしまった。
 
 
…ある日何気なくその歌を聴いた。

初めて聴く歌ではないが、何気なくその歌詞に耳をそばだてた。
“なんということだろうか、息子のことを歌っている” そう直感した。

歌は続く、息子の一生をなぞるように。
そして止めを刺すように歌が終わる、19で旅たつと…。
息子の歌だと確信した。

家族にも聞かせる。親友にも聞かせる。
みんな息子の間違いなく息子の歌といった。

この唄は拓郎が同じ名前の町「吉田町」から頼まれて作ったもので、
リフレインの「のびやかに、しなやかに育てよこども」が気に入っておりました。
カラオケで子どもの前で歌ったこともありました。

息子が癌により19の誕生日を病院で迎え、程なく亡くなりました。

ある日何気なく拓郎のベストを聞いているとこの唄が始まりました。
愕然としました。ただの偶然ですが、息子の人生を歌っていると思いました。

この唄は私にとって忘れることのできないものになりました。


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