2005年12月7日
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コッキー・ポップ
 
(としくん/42歳/愛知)


  「黙っていれば 友達になれない
   叫ばなければ 消え去ってしまう
   私たちが生まれてきた時から育ててきた何かを伝えあうために
   ちぎれかけた世界の心と心を繋ぎ合うために
   私たちの歌が今ここにある」

私はこのラジオ番組が大好きだった
昭和と言う時代が大好きだった
私の周りにはいつも家族がいて友がいてギターがあった
満ち足りた時間がこれでもかと言うぐらい流れていた

けれど今はどうだろう・・・・
社会人となり
結婚をして親元を離れ
二人の子供には恵まれたが
仕事に追われ
流れて行く時間の速さに追われ
神経をすり減らし
自分自身に嘘をついて
いつの間にか本当の自分を何処かに置き忘れてきてしまった・・・・

大好きだった両親は相次いで他界し
知らないうちに友も何処かへ行ってしまった
そしてギターを弾こうと言う気持ちも無くなってしまった

ある時実家の物置で古いダンボール箱とギターケースを見つけた
ダンボール箱の中を見てみると私の子供の頃の物が沢山あった
そのひとつにシングル盤のレコードが・・・・

   「道標ない旅」永井龍雲

  大空に群れなす鳥たちよ
  君の声を見失うなよ
  青春を旅する若者よ
  君が歩けば そこに必ず
  道はできる

たぶんすごく短い時間だったと思う
凝縮された昔が私の目と脳の間で
凄い速度で駆け巡った

そして物置に仕舞ってあったギター
ケースを開けるとあの頃の匂いが・・・・
手に取り調弦もせずに弾いてみる
あの頃の音色だ・・・・
全てあの大好きだった頃のままだ

・・・・泣いたのは何十年ぶりだろう・・・・

救われた・・・・
そしてほんの少しだが置き忘れた自分を取り戻した気がした

母さん、ありがと・・・・ありがとね

 
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