2015年8月9日
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ニューアルバム「まにあいびと」完成しました
 
(篠 了平/1957年生/大阪)


以前リレーエッセイで御報告させていただきましたニューアルバム「まにあいびと」が6月17日リリースすることができましたので、長くお世話になって参りました「戦うおやじの応援団」の皆さんにご案内をさせていただきたいと思います。
(「まにあいびと」というタイトルは、今までは間に合わない奴だったから、これからは間に合うやつになれるように頑張るよって言う意味合いです)


2年間の準備期間、そして16か月、40回のスタジオ通い、合計1500時間に渡る試行錯誤の末にようやく僕が発信したかった音像に近づけることができました。

レコーディングディング当初、思い描くような音像をなかなか構築出来ずに、何度か投げ出してしまいそうになることもありました。 納得するまで永遠と続くスタジオワークでしたが、お力添えをいただいたミュージシャンの皆さんとの間では、音楽を愛するというたったひとつの共通点が支えあう原動力、精神力となり、また、広がっていった輪と皆さんの暖かい人柄のおかげでやり遂げることができたものと感謝しています。

そして、完成にこぎつけたアルバムについてですが、主張するものなどは何ひとつありませんが、望むこと以上に大切なこと、それは望まれないことに決して踏み入ってはならないということが愛する人を守る証であることを、何気ない日常の出来事を通じて伝えたかったのだと思います。

日常における心象風景をどう捉え、どうすれば明日に向かう一歩になるのか、僕は自分の持てる力をすべて出し切り表現しようとしました。

時代は、ネットが主流となりアイチューンによる一曲買いやアイフォン等で進められる定額性でどんな曲でも手に入れられるといった時代に向かっています。

僕にとっては「便利ですよ」という言葉を押しだし商業ベースな時代の波にさらわれたくないという想いがあります。 どうしても失くしたくない人としてのぬくもりや想いを大切にできた時代を捨てられないのです。 何かをするためには手間暇をかけ、ひとつひとつに想いをこめ、人との出会いを大切にし、想いをくみ、今日という日はいったいどんな一日だったかなって振り返る時間を大切にしたいのです。 スイッチ一つで選択し、イエス、ノーに2分する機能は便利だけれども、音符で言う空白の意味、すなわち考えや想いを馳せる場所が消えてしまっているように思えて仕方がないのです。

そのような想い入れがあって、このアルバムは非合理的で時代に逆行する形態をとることになりました。

32ページに及ぶ楽曲と連動したブックレット写真集とともに、一曲一曲が特別な意味を持ち、アルバムの全体を通して聴き終えた時には、かつて針を置き、新譜のLPレコードのジャケットを眺めながら聴き入った日々のときめきが蘇って欲しいと願いながら全体像を描こうとしました。 ブックレットに描かれた写真の光景も、イラストも、言葉も、全てがあって、はじめて「まにあいびと」というアルバム作品(音の出る絵本のような写真集)になっています。

自分自身もやさしい気持ちになりたいし、出来ることならそんなやさしい想いを伝えたい。 パステル色に隠されたぬくもりと切なさに包まれ余韻を残すシャガールの絵のような音像は一体どうすれば見つかるのだろうか? (実は僕はシャガールの絵が好きというか、何かあこがれ的なものを抱いています。) 

探し求めたその感覚は、色々な想いを抱えていたとしても、思いやる気持ちを忘れずに、かつ色づけなどのないどこまでもナチュラルな感性を想いのままに表現することのように思ったのです。 そして何気ない日常のシーンの中に、いくつもの大切にしなければならないことに出会い、そのココロの動きの具現化に取り組んだのがこの作品集です。

バイオリン、フルート、サックス、ギター、オーケストレーション、それにサウンドトラック的な音色が各楽曲の個性を深めるようにシーンを呼び起こし、時には楽曲の中心に自分がいて、それがひとりだったり、誰かとだったり、また時には僕の大好きなシャガールの絵のように画角(楽曲)の外からひとり抽象的に眺め、想いにふけっていたりと、それぞれの想いで場面を重ね想像を巡らせていただければと思います。

このアルバムは、映像的要素を持たせたハッピーエンドに向かう13篇のストーリーになっています。

ひとりでもたくさんの方のやさしさの傍らに置いていただければ幸せに思います。


追伸

そして、8年間お世話になり、「親応」でつながらせていただいた皆さんに、この作品集を聞いていただけたらいいのになと思っています。 篠了平公式ホームページにて収録曲全曲の試聴映像を御用意させていただいておりますので、のぞいていただき、アルバムの雰囲気をお楽しみいただければ嬉しいです。

もしも気に入っていただき手に取っていただけるという事がありましたら、AmazonでのNET通販、ドルフィンギターズ(東京恵比寿/大阪江坂)、三木楽器(梅田)、イオンりんくう泉南タワーレコード、全国CD店でのお取り寄せ等の販売ルートの御協力をいただきましたので、詳しくはホームページ内ショップのコーナーを御検索いただけますとありがたいです。   

よろしくお願いいたします。

篠了平ホームページアドレスは http://ryouhei.info/

自らの気力を鑑みると、おそらくアルバム作りはこれが最後になるかと思います。 自らの全力を尽くした作品であることも間違いありません。 戦うオヤジの応援団の一員の作品として、一度、聞いていただければ幸せに思います。

・・・などと、 山下団長にはそのようにお伝えさせていただいたのですが、団長は「最近、三味線始めたんや」などとおっしゃるものですから、僕も思わず「唄わない篠了平にもトライしてみます」などと、あとでエーッと思うようなレスポンスをしてしまいました。

それでは、また、全国津々浦々のSPにお伺いさせていただくことがありました時には何卒、宜しくお願いいたします。
  
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