「何事もないことの有り難さ、
そして僕にできるほんの少しのすべて」 |
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(篠了平/1957年生/大阪) |
「僕にできるほんの少しのすべて」ってなんだろう?
この歳になり振り返れば、ずい分と遠回りをしたり、させられはしたけれども、今になり、大切なものを一つ一つ拾い上げては、これで良かったのか、間違ってはいなかったのかと確かめながらの、普通探しの旅をしているように思います。
若かった日々には、特別なことを探しては頑張りもしました。
エネルギーもいっぱいあったし、多少無理しても頑張ればいつか思いは叶うような気になっていたのかもしれません。
でも、今になり想えば、自分に向けて頑張ったことは、僕にとって何一つ輝くものとして記憶の中には残ってはいません。
そんなことよりも、自らの想いが至らず、本当に大切な時に間に合わずに、守るべきを守れなかったことに対する自責の念で溢れてしまいどうすることもできない自分がいます。
悲しいけれども、そんな間に合わなかった自分が少しでも間に合いたいと、そんな想いが僕に作品を書かせてくれたように思います。
もうすぐ8年ぶりになるアルバムが出来上がります。
こんなやつになりたいという想いを込めて「まにあいびと」というタイトルにしました。
僕の人生の最後のアルバムになってもいいようにと、これ以上は無理っていえるだけの力を振り絞り、全身全霊こめて製作しているところです。
メジャーレーベルのように投入されるアマウントによる物質的完成度の高さは比べることはできないかもしれませんが、一音一音のすべてが手作りで、今回も、一切の打ち込みを排除した温もりある生演奏による、弦の上を滑る指先の感触や息使いの伝わる心のこもった作品として、決してメジャーレーベルにも劣ることない作品たちに育ってくれたなって思っています。
13篇の作品たちは、僕のよく行くスーパーや、チャリで出かける道中で見かけた日常、そして心に刻まれた光景や、想像の果てにゆきついたたココロのスクリーンに映し出された物語、そんなささやかにもかけがえのない大切な宝物を胸に、ハッピーエンドへの道を具現化しようとした作品集です。
「何事もない普通であることの有り難さ」や、「他愛とは何を意味するのか」が伝わり、「生きてきてよかった」っていう想いとなり、歯を食いしばり一生懸命歩み続けてきた人の心が救われる日がやって来ることを願ってやみません。
たくさんの仲間に支えられ、あともう少しで完成にこぎつけられることは感謝の気持ちでいっぱいです。
僕は、僕にとって、あまりに遠くて届かないかもしれない「まにあいびと」という人物像を目指して歩いてゆこうと思いますが、このアルバムを聴いていただいた方にこそ「まにあいびと」となり大切な人を幸せにしてもらえることを願ってやみません。
僕がはじめてSP大阪にお伺いさせていただいて早9年目になります。
当時と変わらないのですが、人の曲を自分なりにまじめにトライしようとしたことは過去に一度しかなく、今もコードがよくわからず、音楽の面では団体行動はまったくできませんが、そんな僕を暖かく迎え入れてくれた2006年の暮れの押し迫った寒い日の夜ことを忘れはしません。
不安にも似た緊張を抱いたままにフィドルクラブのドアを開けた瞬間に、暗い部屋の中からあふれ出た木漏れ日のようなヌクモリある光に似た光景は、今なお、説明すらできないのですが、初めて経験するぬくもりの整然のようにも思えたのです。
僕は器用にあれこれと物事を進めることの出来るタイプの人種ではありません。
それゆえ、過去3年間は、アルバム作りに専念するためにアルバム作り以外の音楽に関連した活動は全て休止した状態になっています。
そんな僕にとっては、新たな作品作りも、人前で演奏することも、エネルギーのいることは、ひとつのことをなすための集中力を維持するためには、障害となってしまうからです。
それで、「オヤ応」の方にもまったく足を運べていませんが、完成の暁にはアルバムを手にお伺いさせていただきたいと思っています。
入会当初に、せっかく声をかけていただいた「リレーエッセイ」への投稿も、パソコンでの送付の仕方がよくわからず、そのままになっていたことも、実は今回声をかけていただいたことで、ようやく心の片隅に残してきた荷を下ろすことができたようでホッとしています。
山下さんも健康や体調のことに触れておられましたが、僕もトラブルを抱えるようになり、「何事もないないことの有り難さ」を痛感させられています。
山下さんをはじめ、各地の世話人のみなさん、そしてメンバーの皆さん、やがては世代交代の時がやってはくることと思いますが、「戦うおやじの応援団」が、多くの人の心の安らぎの場として末永く続いていってくれますようにと僕も心から願っています。
それでは、みなさんと共に、明日が少しでも昨日よりもいい日になりますように!!
・・「チャオ!!」
P.S. アルバムが完成しましたら、掲示板にて、再度、御案内をさせてくださいネ。
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