2004年6月16日
<エッセイ一覧へ>

「今になって・・・」
 
(hori/45歳/東京)
 
私の家から200Mほどの所に小さなレコード屋があった。

姉がたまにそのレコード屋で三田明の新曲が出ると買いに行っていた記憶がある。なんせ約35年も前の事なので、店の名前なんてさらさら覚えていないのは当然の事。

ある日(たぶん誕生日だったのかもしれない)その店でレコードを買いたいと親にせがんで、レコードを買って貰う事になった。そのころは音楽なんて興味なんか無かったけど姉がレコードを聴いているのが羨ましかったのかもしれない。

しかし、いざ親に連れられて買いに行くと、はて私は何を買いたいのか、何を聴きたいのか、何で来てしまったのかなんて事まで考えて、店の中をウロウロうろうろ。

何を買って良いのか判らない、そんな哀れな少年をみて、店のオヤジも業を煮やしたのか「これなんかいいレコードだけどね」(とかなんとか言ったような)と、一枚のアルバムを差し出してくれた。

そしてそのアルバムは何と円盤が赤く、私にとっては初めて見るものだった。
ジャケットは3人の写真で真ん中は女性。そしてそれは何とPPMのBEST版!だったのだ。

小学生の私が洋楽を聴くなんて思ってもいなかったのに、そのオヤジは自分でレコードも探せないガキに洋楽を押しつけたのだった。私もその場で断れば良かったのにシャイな性格故、断る事もできず買って帰ったのである。

PPMって何だ?ライナーノーツを読んで初めて一人一人の名前なんだと判ったのは言うまでもない。

プレーヤーに乗せてレコードに針を落とす。

始まった曲はちょっと明るい曲。♪パフ、ザ何とかドラーゴン・・・恐竜の歌か?
次は悲しげなメロディ。♪何とか何とかフラワーズゴーン・・・花の歌か。
そのぐらいの感覚で聴いていたが、聴けば聴くほど子供ながらに、何かいい曲だなあ〜と思って聴いていた。

今思えば「パフ」「花はどこへ言った」その他のPPMの曲は自分のフォークソングやギターの原点だったと思う。(かといってPPMを完璧にコピーしているわけではないのだが)今ではあのレコード屋のオヤジさんに感謝感謝!
やっぱりオヤジは良い物を知っている。

と言う事で「戦うオヤジ」ばんざーい!お後がよろしいようで・・・
 
トップページに戻る→