2004年10月11日
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「D−45」
 
(room45/46歳/東京)


70年代のフォーク・ギター・ブームに憧れたマーティン社のギターの最高峰。28や35すらショー・ウィンドに入って展示されていた時代に、D-45の現物は見ることの出来ないギターであった。

それが今、私の家に11本とカスタム・オーダー中のものが1本ある。
内ハカランダが7本。GOMの87年から96年のD-45をすべて集めた。
D-45GEはスタンダードとカスタムで2本など、70年代の憧れは自分の人生を変えてしまった。

私は普通のサラリーマンなので、ローンにローンを重ねたり、挙句の果てには死んだら生命保険で払えるなど考えたりもした。半年間、昼食はカロリーメイトで過ごしたこともあった。もちろん独り者である。

サイズはドレッドノートのみでスモール・サイズには全く興味がない。
現在、マーティン社にカスタム・オーダー中のものはJ-45のブラックでオール白蝶貝。メープル材。フィンガーボードにはワイン・ハーモニクスのインレイ。 元オフコースの3人によって結成されたABCをイメージしてデザインしたジャンボ・サイズのオール・ブラック・カラーのギター。来年3月頃に完成予定。

一番良い45は何ですか? という質問をよく受けるが、今はD-45GEのカスタムと答えている。使用する材をマーティン社に頼んで厳選してもらい製作したギター。ただでさえ良いスタンダードのD-45GEより数段いい。

オリジナル45と比較したことがあるが、経年変化による音の差を除けば将来にかなり期待できるポテンシャルを持っている。いろいろな楽器店に持ち込み見ていただいたが、音の良さ、バランスの良さに皆驚愕である。

自分の45歳の誕生日に自分への御褒美として購入したこのギターは自分のD-45への思いの集大成となった。
良いギターは人によって様々。材の種類の良し悪しも人によって様々。
まことしやかに言われているギターの判断基準に惑わされずに、自分の好きなギターが良いギターである。私の場合、それがD-45になってしまった。

現在はD-45クラスのレベルをもったギターは国内外にもたくさんあることは承知し所有しているが、マーティン社の170年の歴史で培った魂の音作りを30年で埋め合わせることは出来ない。

最近は仕事が忙しく 自分のギターを弾く時間が全くない。
そこで、ミュージシャンに自分のギターをレコーディングやステージで使ってもらい、良い音をミュージシャンとオーディエンスに提供するようにしている。


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