「歌いながらこの夜を行く」 |
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(ARI工房/41歳/埼玉) |
戦うオヤジの皆様こんにちは(^^)埼玉のARI工房です。
今回は、私が近頃感じていることを思うままに書いてみますのでよろしくお願いします。(私感的なもので、皆さんに意見するようなものではありませんので、その旨よろしくお願いします)
■出逢い
さて、私のアコースティックギター(以降AG)との本格的な出会いは高校時代にヘッドウェイのHD−205という定価5万円のギターを手にした時から始まります。
それから十年はその一本を大切に弾いていました。私が大学生の時にヘッドウェイの工場が火災に遭いAGの製作を断念され、加えてマーティンのギターにアジャスタブルロッドが入ってしまったことに抵抗があった為、2本目のAGを買えなかったのです。十年が過ぎて、2本目にバンド用にオベーション・エリート、3本目にテイラー915C('92ウインターNAMMショーモデル)・・・・というようにAGの旅が始まりました。
理由はいたって簡単で、20代後半から30代前半で国家資格やライセンス取得の為に時間を費やしていましたが、その取得後の自分へのご褒美であったり、子供の誕生の記念だったり、いろいろ理由を付けては買っていました。たてまえは「記念の品」です。それにしても、受験勉強の息抜きに行っていたのが楽器屋なのですから、学生時代と変わらない奴なのです(笑)
蒐集癖も手伝って、一部入れ替えはありましたがAGだけで現在15本所有しています。いい加減にしなければと自分に言い聞かせているのですが・・・
■この頃は
インターネットでの交流も手伝ってこの2年間で自分自身を取り巻く環境も様変わりし、自分自身が変わってしまったことに正直驚いています。
一番の変化は楽器との付き合い方の変化でしょうか?
以前は、楽器はほとんど購入時(吊るし)のままで弾いていました。しかし、楽器をより弾きやすくしたり、リニアリティーやレスポンスを向上させたり、音質をより好みに近づけることができれば楽器を演奏する楽しみは数倍増すように思います。(これは、私の友人と優れたチューナーのお陰です)
しかしながら、全てにおいて万歳かというとそうではありません。楽器の持つ可能性を引き出す試みは、隠された楽器の資質を裸にし、結果としてその楽器に何処まで求めたらよいのかという判断を余儀なくされます。(楽器のサウンドは向上しますが、この楽器で良いのか?という迷いも生まれます。)そして、1回のチューンで全てが成功するとも言えず(求めているテイストに合わない結果が出ることもある)、そのリスクを自ら負い自己責任を取れる方にしか勧められないのです。(楽器は一切嘘をつきません。)
されど、テイストが合わなければ「もう一度やれば良い」だけのことなのですね。お金も時間も情熱も必要かと・・・(本当に業が深いです)
加えてギターと向き合っていて「何が大切なのか?」と問いただしてみると、自分が弾く楽器に対する「信頼感」が大切で、その楽器を弾いていて心から「ハッピー」になれるか?という答えが返ってきました。これは、尊敬する先輩から得た大切なアドバイスでした。
完璧な楽器はこの世には存在せず、弱点や欠点を少なからず持っていてその楽器を如何に理解し、より前向きに向き合って(ある面で割り切って)演奏するかが大切なのだと思います。(偉そうなこと言って恐縮です)
余談ですが、今年になって初期のヤマハFGに出逢いました。初期のFG(黒ラベルまで)には高級な音は望めませんが、何とも日本人の感性に合う癒される音を感じました。好みをあえて言えばグリーンラベルです。赤ラベルは私にはドライ過ぎるようです。3年の準備期間を経て生まれたFGだそうですが、AGファンとしてはプロジェクトXをやっていただきたい位です。日本にも世界に誇れるAGの歴史がありますよね。(マルハやヤイリ他重要なメーカーもあるというお声もおありだと思いますが)
本音を言えば、価格と見合わせて良い楽器であれば、その楽器は十分に良い楽器だと心から思えるようになったのは今年になってからかもしれません。(反省)
■再会
話は変わりますが、先月ヘッドウェイのマスタービルダーの百瀬さんと都内のクリニックでお会いできました。その記念に?マホガニーS&Bのスモールボディーのギター(NYタイプ)を買ってきました。十代の頃にお会いしたことも在ったわけでしたが、私がここまでAGが好きになれたのも百瀬さんが若き日に作ってくれたギターのお陰なのだと感謝せずにはいられませんでした。
今、僕の目の前に百瀬さんが作られたハーゼ・フィヒテ(年輪に直行する複雑な組織の板目)が美しいニューヨーカーのギターがあります。本当に自分が欲しいと思えるヘッドウェイギターにようやく出会えたと実感しています。
■戦うオヤジの皆様に
ギター好きの竿自慢のようなサイトではない、戦うオヤジの皆さんの自己表現に取り組まれる真摯な姿勢が好きです。私も心と体をグリップさせて歌とギターに取り組みたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。
世の中は相変わらず厳しい状況ですが、「歌いながらこの夜(の時代)を行きましょう。」 私の大切な友人達にも心から感謝したいと思います。
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