「上手くならないギターとの腐れ縁」 |
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(はせがわ/49歳/静岡) |
初めてギターを手にしたのが高校入学祝に買ってもらったガットギター。同級生とバンドを作る予定だったので必死に練習しました。「俺だって10年ぐらい経てばプロ級の腕前に・・・」と思っていたわけですが、30年経った今でも、レベルに変化があまりないのはちょっと寂しいです。
さて、学生時代はフォークの仲間がたくさんいて、ギター三昧、パチンコ三昧の日々でしたが、会社勤めをするようになり同様の方も多いと思いますが、ギターはケースの中でほこりにまみれて眠っていました。
ひょんなことから2年程前、ママさんコーラスのバックにギターを頼まれて、またポチポチはじめるようになりました。久しぶりに取り出した我が名器(だと思っている)S.Yairi YD-306は、ほったらかしにされた事を恨む様子もなく、枯れた良い音を出してくれました。もともと低中音はバカ鳴りだったのですが、逆に高音は出が悪く、ピックが弦をはじく「ピチピチ」音が気になるほどでした。それがなんと、眠っているだけで、高音域の抜けが格段に良くなり、Emをジャラーンと弾くだけでおじさんをワクワクさせるような音を出してくれるのです。
初心者のような指の痛みに耐えながらタコも立派にできてきた頃、久しぶりに楽器屋さんでも行ってみるかと出かけた浜松市内の楽器屋さんで、遠い昔にあこがれたギルドのアコギが、マーティン、ギブソンの中に混ざって1台置いてあるではありませんか。表示を見ると1980年製 D-50 ¥198,000
高校生のとき雑誌で見たギルドを弾く西岡たかしさんのアップの写真。ギルド独特のヘッドに埋め込まれたロゴとピックガードが印象的でした。そしてどこかのライブだと思いますが、五つの赤い風船で聞こえてくるアコギの音。ストロークのたびにガラスをハンマーで叩き割るような(とその時は思えたのです)強烈なサウンドにあの写真がオーバーラップして、あれがギルドの音なんだ、と勝手に思い込み、私の夢のギターになったのです。
憧れのギターとのご対面に胸は騒ぎましたが気持ちまだまだ冷静で、住宅ローン返済真っ最中の自分にとって、このギターの購入は分不相応であると判断できました。それでもこうして何かの縁でお目にかかれたのなら、せめて手にとって音を出してみたいものです。店員さんに試奏をお願いしたら快くOKしていただき、チューニングのあと、どうぞと手渡されました。S.yairiも重いギターですが、初めて持つギルドはずしりと重く私のひざに乗りました。
その音は、素人の私には上手く表現できませんが、倍音が少なくてきらびやかではないけれど、澄んだ深い音という感じで、昔思い込んだ「ガラスを叩き割る音」とは違いました。でも、試奏ですのでおとなしく弾いてますし、外観はとても20年ほど前のギターとは思えないほどきれいで、ピックのこすれ傷ひとつない状態で、あんまり弾いてもらってなかったようで、弾き込めば、もっともっと音が出るように思えました。
さて、冷静に家に戻って女房にこのことを話しました。女房も昔からフォークが好きで、自分のCat's Eyesを1台持っているのですが、私の気持ちが良くわかるのか、意外にも簡単に「買えばいいじゃん」というのです。
消費税分はまけてもらうつもりで20万円だけもって楽器屋さんに走りました。 で、そのギルドは今私の横に私につけられたピックのすり傷も誇らしげにスタンドに立てかけられています。
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今年から、わが町でフォークソングクラブを立ち上げ活動を始めました。始めたばかりなのに良いご縁がたくさんあって、ライブ喫茶への出演やら、町をあげての文化展に、ライブで知り合った他のバンドの協力もいただいて、1日フォーク喫茶を開店したりと実力に伴なわない活動をさせてもらいました。
我がフォークソングクラブは、私以外、女房を含めおばさん4名という恵まれた(?)メンバーでとても楽しく2時間の練習があっという間に過ぎてしまうのですが、集まったとたんにおしゃべりがうるさくて、チューニングもろくにできないとか、私と彼女らとキーが合わないとか悩みもあるわけです。
そんな中、やはりライブで知り合った、50を過ぎたばかりの自称フォークバカさんと、わりと若い耳コピ天才ピアニストさんと3人で来年からバンド組まないか、という話をいただきました。
私も来年は50歳。仕事も大事だけれど、重要なポストで責任の重い仕事をしているわけでもなし、上手くならないギターに思いっきりはまってみようかな、と思う今日この頃です。
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