2008年2月22日
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「僕らの武器は」
 
(べろ/1961年生/奈良)

夜遅く、仕事を終えて電車に乗る。乗り継ぎを待つあいだ、イヤホンから流れる音楽に耳を傾けながら喫煙コーナーに向かう。
夜の11時というのに仕事帰りのくたびれたコートや溜息混じりのタバコの煙でホームはあふれ返っている。電車が着くたびにホームの上は掃除されるがいつの間にかまた一杯になる。毎日毎日数えきれないほどの人とここですれ違うわけだけれど。

さて、僕と君がすれ違う確率というのはどれくらいのものなんだろう?

まず、宇宙に存在するこの地球という星。
ここに生命が誕生する確率は?
で、たとえば何らかの生命が生まれたとしても「人間」なんていう非常に複雑な種が生まれる確率は?
その「人間」が「音楽」なんてものを作り出す確率は?
で、その「人間」として君や僕が、しかも同じ時代に存在する確率はどうだ?
さらに言えばその時代にはインターネットなんていう便利な物があって、しかも「ギター」なんていう妙な道具に興味があって「戦うオヤジの応援団」なんてもので知り合う確率と言ったら。

ねぇ。すごいことですよ。

僕らの存在って宇宙的規模で見たら砂粒みたいなもんだろうし、僕らの寿命だって人類の歴史から見たら流れ星よりももっと「あっという間」なんだろうなと思う。でも「砂粒みたいに小さくて流れ星みたいに一瞬の人生」だからこそ、お互いに交差した偶然を大切にしたいと心から思うわけだ。うん。

さて。ところで、いや、今までが前振り。これから本題なんだけど。

年間34000人。

これが何の数字かご存知の方も少なくないでしょう。この国の自殺者の数です。1日あたり90人。とんでもない数です。毎日毎日これだけの数の人たちが自ら命を絶っていく。そのうち45-59歳の人たちが占める割合というのが約25%。それがこの国の現状なんですよね。

オヤジたち、みんな戦ってるんだよねぇ。途方に暮れたりやけくそになったり絶望したりしながら見えない明日と戦ってるんだよね、みんな。

僕らはまだ幸せな方ですよ。だって戦う武器があるじゃないですか。音楽っていう鎧とギターっていう武器が。
でもね、そういうの持ってなくて、どうしていいのかわかんないままに力つきて戦死しちゃうオヤジ、多いんだなぁ。
とっても切ないことです。

「武器」を持つものの一人として
「持たざるもの」を救うことまではできないにしても「励ますこと」ができたらいいなあと思います。だってさぁ「応援団」なんだもの。ね。

生きましょう。
歌いましょう。
笑いましょう。
「生きること」はもっと喜びに満ちていていいはずだものね。




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