「Fast or Slow?...」 |
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(伊藤ikki/1970年生/静岡) |
かなり昔に耳コピ練習したギター曲をほぼ10年ぶりに弾いてみました。
この曲、当時Liveをした事がある曲なので、楽勝で憶えていると思いきや、全然そんな事無くて、あんなに得意だったソロフレーズとかも思いっきり忘れてしまっているんですね。。。
10年もほっとけば当たり前かもしれません。
しかし、同じ様に10年前に憶えた別の曲で今でもちゃんと弾ける曲もあります。
やっぱりとても苦労して身体に叩き込んだ難しい1曲、というのはなかなか身体から抜けないのではないでしょうか。
さて、今私が弾けなくなったと言った曲は、実は比較的弾くのが楽な曲なんですね。
むしろそういった『そんなに苦労しなくてもマスターした曲』ってのは、ちょっとほったらかしてもすっかり忘れちゃうみたいです。
一生懸命思い出して弾いてみるんですが、感が戻り難いもどかしさが、ムカつくと言うよりむしろ、笑っちゃうんです。その自分の弾けなさ加減が。
でも自分が弾くべき音色は何故か10年経っても覚えているので(頭の中のコンポが正確に曲を奏でる)、改めて今その曲を耳コピしなくても、自分が弾き間違えれば『こりゃ違う』と判断出来る訳で、タブ譜を見たり原曲を聴かなくても、音の捜索は出来ます。
しかし、いかんせん、指がなかなか思い通りに動かないので、ちょっとテンポをゆっくりさせて、指先に意識をより集中させて弾くと、十何回目かに通しで弾ける状態になります。
こんな練習(10年ぶりの復習)をしていてふと思い出した事があって、それは、Band練習(リハ)において『速いテンポで練習するのと遅いテンポで練習するのはどちらが効果的か』という話題で、Bandメンバーのドラマーさんと意見が食い違って解決出来なかった、という事です。
その時私は『速いテンポで練習(リハ)すれば、Liveの時にはだいぶ余裕を感じながら演奏出来るから、練習の時は早いほうが良いんじゃないか?』と言ったんです。
しかしその意見が食い違ったドラマーさんは『いや、遅いテンポで確実に演奏する方が練習になる。速いテンポで勢いに任せたいい加減な演奏をやっても練習(リハ)の効果は無い』と主張するんです。
さてここで、今の私はどうでしょう。明らかに『テンポを遅くする事で確実に10年前の様に弾く』という練習をやっているので、ドラマーさんの意見にのっとった練習方法をしている訳です。
これって自分が言ってた事と違うじゃん、ってなります。
そうなんですよね。曲を憶えている時、要するに身体に叩き込んでいる時は遅いテンポでミス無く確実に弾く事を反復した方が、良い手ぐせが身体にインプットされます。そう言う意味では、遅いテンポの方が練習になる、と言えます。
今の私は10年前に演奏したその曲を『1回Liveもした事だし、今でも弾けるだろう』という固定観念があったので、その曲の元々のテンポで弾こうとした時、弾けないし、その弾けなさ加減が笑っちゃう具合になるのです。
そうか!と思いました。今まで私は、新曲を手がける場合、必ず遅いテンポで弾き始め、正確な指の動きをそれで憶えてから、今度はテンポを徐々に上げていく、という個人練習の方法を自然とやっていました。
だから、テンポを落としている時もテンポを速めている時も、それぞれの練習のテーマは違えど、どちらも効果的な練習方法になっているという事だったんですね。
…という事は、その意見の食い違いを見せたそのドラマーさんは『まだどの様に演奏するか身体に叩き込めていない』状況にあり、逆に私は『どの様に弾くかもう決めていて、身体に叩き込み済み』だったと言う事が今更になって解ります。
これにはいたく納得。別に意見の食い違いがあったからと言って、お互いにののしり合ったりいがみ合ったりした訳ではありませんが、かねてから疑問に思っていた事のひとつが今解消出来ました。
皆さんにおかれましては『そんなの当たり前だろう』とお思いになるかもしれませんが、なかなかスタジオでお互いに打ち合わせしていると、何故その様な意見に達するのかの『根拠』の説明を怠りがちな中で、『こうしたら
どうか、とか、ああした方が良いじゃん』という提案だけをしてしまう事があると思います。
でもそこで、根底にあるもの、と言うのか前提にしているものが一致していないと方針やら決め事も食い違いをみせる、と言う事になるのです。
難しいですね、言葉のコミュニケーションって。この話しの正解は
私:『もう皆弾けるみたいだから、Live前だしテンポアップしない?』
ドラマー:『イヤ、俺まだ曲を固めてねぇから、むしろゆっくりでやってくれない?』
私:『あ、そう?まだ憶えてないんだ?どの辺が固まってないの?』
ドラマー:『中間奏から最後のサビでツーコーラスあって、、、んでエンディング?の辺りがまだ憶えきって無いんだよねぇ』
私:『ぇ、まじかよ!?明日Liveだぜ!?。。。んじゃ中間奏以降を繰り返しやろっか?まずゆっくりから。。。』
ドラマー:『おぅ、わりいね、そうしてゃ』
という会話だったなら何の違和感もありませんし、この場合における一番効果的、かつ合理的な練習方法を選択出来たのかもしれません。
しかし、思い起こせばそのドラマーさんとは曲の一部分を集中的に練習する事なく、中途半端に覚えている状態でLiveに望み、その場の対応能力を頼みの綱にして乗り切ってしまったのですから、ある意味スゴイのかも知れませんが、ちょっと恐い橋を渡るやり方をしていたんだなと反省します。
アドリブ能力の高い方なら、曲の展開さえ間違えなければそれで良いのかもしれませんけどね。
私としてはもうちょっとディープな練習方法のほうが好きで、少なくとも自分の練習方法においては完璧に曲の展開と弾き方をマスターし、それを何度も繰り返す中で、視線を客側に向けたりしながらなるべく毎回同じ音が出せるように心がけています。
もうちょっと言うと、ほとんど照明の明かりが無いくらいに薄暗い中で演奏したり(これはハタから見ると怖い)という練習もホントはしたいんですけれどね。
あまり突拍子も無い練習方法の提案をするとBandメンバーも戸惑うだろうし、実際そう言った練習方法をスタジオでやっていると、スタジオの店員さんもビビるでしょうから、今のところやっていません。
まあまあでも、そんな練習が出来なくてもLive Houseで場数を踏めば、いやでも照明さんが暗くしてくれる事もありますので、おのずとそう言った環境で演奏するテクニックが身につくと思われます。(あと暑さに耐えるLiveとか)その辺は現場で覚える、とするのも良いでしょうね。
逆にあまりLiveを沢山しないBandさんにおかれましては、Live慣れするチャンスが少ないので、練習の段階からこれらの苛酷な環境での練習(速い、暗い、暑い、あと臭い?とか虫が顔にたかる?)をやってみると、練習のほぼ100%の力が1発勝負のLiveにおいても出せるようになるんではないでしょうか?
そしたら鶏糞肥料臭漂う中、熱帯夜の○○村公民館庭先での『村祭り2013Live』とかに参加しても完璧に乗り切れるんではないでしょうか?
後半かなりくだらない練習方法のご提案になりましたが、もしこの話、気に入って頂けましたらお試し下さい&長文ゴメンナサイ、そして最後までお付合いありがとうございました。
おしまい。
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