2019年4月30日
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「ハモりが楽しい」
 
(dema/1959年生/千葉)


 千葉県松戸市に住むdemaといいます。最近、この集まりに入れていただきました。

 小さい頃から 、なぜか自分の好みが他の人とちょっと違うことを感じていました。同年代の友だちが、開通した新幹線に夢中になっている時は、ひたすら湘南電車の絵を描き続け、野球中継が30パーセントの視聴率を取っている時は、ひたすら閑古鳥鳴くサッカー日本リーグのスタジアムに足を運んでいました。物語を読めば決まって主人公よりもその相棒や、やられ役の相手にばかり気持ちが入ってしまうものでした。人気が出た映画やテレビドラマはそれだけで観る気をなくしてしまうのです。

 そういう人間ですので、音楽の好みも周りの友だちとは全然通じ合いませんでした。当時人気のあったアイドル歌謡曲や演歌には全然興味がわかず、友だちの話題から一人離れていました。そればかりか当時人気が出てきていた、吉田拓郎などのフォークにも興味が持てませんでした。好みの感性が人とずれているだけでなく、なぜか多数派に反発する気質がぼくには生まれつきあるようです。そんな自分が嫌いではないのですが、昔から今までいつも人と話が合わず、孤独な思いをしてきたのもまた確かです。

 小学校6年生の時に、姉が借りてきた、映画「卒業」のミニサウンドトラック盤で、初めて洋楽と出会いました。ああ、「こういうのを探してたんだ」と思ったのを覚えています。それをきっかけに洋楽、音楽にのめり込んでいきました。CCR、シカゴ、ジャニスジョップリン、ショッキングブルー、グラスルーツ、エルトンジョン、カーペンターズ、ジェームズテイラー・・・・etc と、音楽を聴く楽しみが一気に開けました。ただし、やはりというか、世間みんなが崇めるように賞賛するビートルズは好きになれませんでした。日本で人気のあったブリティッシュ系のロックも今ひとつ好きにはなれず、当然ディスコサウンドやテクノも・・・

 以上書かせていただいたように、自分は昔からどうしても少数派になってしまう感性と気質を持っています。しかし、ウエストコースト系の音楽に出会い、触れた時「これは単なる少数派への共感ではなく、自分の感性にマジにピッタンコな物なのかもしれない」と思うようになりました。かつて洋楽に出会った時のように。日本で大人気になっても好きでいられる気がしました。

 クロスビースティルスナッシュ&ヤング、ジャクソンブラウン、ゴードンライトフット、ダンフォーゲルバーグ、イーグルス、ドゥービーブラザース、リンダロンシュタット、ザ・バンド、リトルフィートなどに夢中になり、今でも好きです。幸いというか、日本ではそれほどの大ヒットはありませんでした。

 10年ほど前、フラットマンドリンを買って弾くようになり、最近はギターも買ってよく弾いています。かぐや姫やアリス、さだまさしやサザンオールスターズなど日本のフォークやJポップにはほとんどなじみがなく、主にウエストコーストやカントリーがかった物ばかり一人で弾いて歌っています。

 他人とほとんど好みが合わない-死ぬまでこれが自分なのだと思います。でも、みんなと思いを共有できないことを寂しいと思う気持ちも同時にあります。自分が歌を歌っても周りの人は誰も知らないのって、やっぱりちょっと寂しいです。

 そんなぼくが誰かと気持ちを共有できたって感じるのは、うまくハモれた時です。一緒に歌を歌って、ハーモニーがピタッと決まった時は、思わず抱き合いたくなるような喜びがあります。サッカーでワンツーで崩してゴールしたみたいな気持ちですね。(あ、へんなたとえですいません)

 ぼくはハモって歌うのが大好きです。どんな曲でも誰かと一緒にハーモニーを作るのが、今のぼくの歌を歌う最高の楽しみです。

 死ぬまでに誰かと3人でCS&Nの「Helplessly Hoping」をハモりたいというのがぼくの夢なんですけど、誰かやってくれる人いないでしょうか。
 




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